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【昭和正論座】思考力の欠けた“革命”青年 文芸評論家・村松剛(昭和48年8月3日掲載) (3/4ページ)

2008.7.26 08:21
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 岡本公三をしらべたイスラエル当局は、この青年が中東事情について何も知らないことに仰天した。彼は西郷隆盛を尊敬し、生きて虜囚の辱しめをうけたくないといいつづけ、それだけをきいていると右翼だか左翼だか、わからなくなる。何ひとつ事情を知らずに上の命令に盲従したのは儒教の影響だろうと、法廷で通訳をつとめたエプシュタイン氏はいっていた。儒教云々(うんぬん)は少々牽強附会(けんきょうふかい)(=こじつけ)だが、とにかくその程度の青年が、過激派のパンフレットの一冊くらいを読み、血相を変えて中東に飛んで行ったのである。

平和教育の皮肉な成果

 日航の「よど」号を乗っ取って平壌に行った青年たちも乗客のひとりの証言によれば、自分たちの機関紙に書いてあることを「よく理解できない」といっていた。「わからないけれど、とにかくやってみることだ……」だから平壌に行くとたちまち金日成主席の信奉者に早変りする。

 浅間山荘の事件といい、思考力の欠落した“革命”青年が、どうしてこうも次々に出て来るのかと思う。彼らだけで日本の青年を判断することはできないし、じじつ立派な青年たちも大勢いる。それにしてもちょっと煽動(せんどう)されると簡単に狐つきのような顔になる若い男女が、大学騒動の例から考えても驚くほど目立つのである。

 急速に変貌(へんぼう)してゆく社会であり、青年の心を不安にする要因は多い。親たちは子供の受験や点数には熱心だが、どんな教育が行われているかについては比較的関心がうすい。日教組は共産党を支持するか社会党を支持するかで喧嘩(けんか)しているのだから、政治団体と変らず、急進派は革命が起こらなければ真の教育はできないなどと叫んでいる。

 教育の世界は受験戦争とイデオロギー戦争との舞台になっている、といって過言ではないのである。「革命」ときいただけで逆上し、中東まで飛んで行く単純な人間が出たとしても不思議とはいえない。

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