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【正論】東アジア新潮流 尖閣海域の「異変」を注視せよ 中国軍事専門家・平松茂雄 (1/3ページ)
2001年4月1日、中国の海南島東南海域上空で、米軍の偵察機と中国軍の戦闘機が接触し、戦闘機が墜落してパイロットが死亡する事故が起きた。この事故について、どのような経緯で衝突が起きたのかに関心が集まり、戦闘機の挑発的な行動に問題があり、公海上空を飛行していたのだから、偵察機に落ち度はないとの見方が、米国ばかりか、わが国の報道や専門家の間でも大勢を占めた。
当時筆者は公海上空を飛んでいた米軍の偵察機に落ち度はないが、事故が起きた空域と海域の軍事的重要性から、起こるべくして起きた出来事であり、中国軍戦闘機の責任を非難して片付く問題ではないとの見方をした。
ではその軍事的重要性とは何か。海南島は南シナ海西北に位置し、中国の海軍基地と空軍基地があり、島の東南に位置する西沙諸島にも海空軍基地がある。西沙諸島の東から南にかけての南シナ海海域には、バシー海峡とマラッカ海峡を結ぶシーレーンが通っており、また海南島から東に進めば、バシー海峡を通って西太平洋に出る。
南シナ海と西太平洋をにらむ中国にとって、海南島と西沙諸島は戦略的に重要なカナメの位置にあり、その周辺海域は中国軍の「聖域」である。接触事故はその「聖域」で起きた。米軍機の偵察とそれを阻止する中国軍戦闘機の緊急発進が日常的に実施されているが、この時期に、海南島周辺海域で、特別に偵察する必要のある事態が進行していたのか、それとも中国軍側に米軍偵察機に「挑発的」な行動をとらせるような事態があったのか。
露見した海南島の秘密基地
局外者には分かる術(すべ)もないが、当時筆者は米軍偵察機の目的は、海南島周辺海域における中国海軍潜水艦、とくに原子力潜水艦の活動、潜水艦発射ミサイルなどの訓練、あるいはその活動の拠点となっている海南島その他の軍事基地の偵察だろうと推定した。

