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【正論】緊急事態基本法の成立を急げ 初代内閣安全保障室長・佐々淳行 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:ミャンマー情勢
頼るべき「舵手」の不在
1967年、文化大革命と紅衛兵暴動が吹き荒れていた香港の街中に、朝から晩まで「東方紅(トンファンホン)」と共に革命歌「大海航行靠舵手(タアハイハンシンカオトウショウ)」が鳴り響いていた。赤い太陽毛沢東党主席を讃(たた)え“大海を渡るには舵手が要る”と独裁者を礼賛する歌だった。
その頃北朝鮮では金日成の「主体(チュチェ)思想」が真っ盛り。いずれも自由民主主義の日本とは相いれない政治思想だが、いま指揮する者もなく荒海を漂流し続ける「日本丸」の国家危機管理のためには一考に値する考えだ。
いま地球には明らかに何か大きな異変が起きている。ミャンマーのサイクロン、中国四川省の大地震、インド洋の大津波、アメリカ・ニューオーリンズのハリケーン「カトリーナ」、地球温暖化で北極の氷が解け、南太平洋ツバルなどの島嶼(とうしょ)諸国に海没の危機が迫る。地球規模の天変地異が次々と起こっている現在、関東・東海・南海の「三つ子の大地震」の周期がきている日本にとって、それは決して他人事ではない。
軍事政権のミャンマー、共産党一党独裁の中国でさえ、初動措置の遅れが甚大な死者を出しているというのに日本の内閣総理大臣には非常大権がない。このままで日本は大丈夫なのかという不安が、いま国民に漲(みなぎ)っている。「主体性のある靠(たよ)るべき舵手」がいないからだ。
小泉純一郎・安倍晋三両元総理の2代6年で日本の内政外交上の国家危機管理システムは急速に整備された。テロ特措法、武力攻撃事態対処法、国民保護法等々三十余年放置されてきた「有事法制」関連法令が次々と制定され、あと一息で「ふつうの国」になるところだった。
「緊急事態基本法」がそれである。

