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【正論】領土返還要求は単なる建前か 青山学院大学教授・袴田茂樹 (2/3ページ)

2008.5.22 02:54
このニュースのトピックス北方領土問題

6つの柱の1つに格下げ

 日露関係の交渉でロシアが常に正面に出してくるのは、日露行動計画(2003年)だ。この合意以前は、平和条約問題は日露関係の3つの柱の1つだったが、この行動計画では6つの柱の1つに格下げされて、貿易・経済協力をはじめとする盛りだくさんの協力推進を約束した。

 ロシア側が大歓迎したのは当然だ。ロシアの専門家はこの合意について、「日本は領土問題をついに棚上げした。小泉の英断を歓迎する」と述べた。当時のパノフ駐日大使も、この盛りだくさんの合意をバイキング料理に例えた。辛子の利いた領土問題は避けて、好きなものだけを選べるというロシア側の心理を的確に表している。

 日本は平和条約交渉と経済その他の分野の協力を均衡させて共に進展させるという立場に立っている。これに対して、ロシアはまず経済その他の分野を発展させれば困難な問題も解決できるという「出口論」を主張しているが、実際は領土問題棚上げ論だ。最近、日露経済関係は発展しているにもかかわらず、北方領土問題に対するロシア側の態度はより厳しくなった。

 筆者はプーチン大統領との懇談の際、この問題を取り上げてストレートにロシア側を批判した。4月に高村外相も、経済をはじめとする多方面の関係が急速に発展しているのに平和条約交渉は全く前進していないと、ラブロフ外相に均衡の欠如を指摘した。外相のこの批判は正しい。問題は、このような批判をせざるを得ない事態を招いた原因のかなりの部分が、これまでのわが国の対露アプローチにあるということだ。

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