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【正論】領土返還要求は単なる建前か 青山学院大学教授・袴田茂樹 (1/3ページ)
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露紙報道に出た本音
福田首相のロシア訪問に関連して、本紙に見過ごせない記事が出たので、日露関係について論じたい。わが国は日露関係をより高い次元に高めるため北方領土問題を解決して平和条約を締結すべしと主張している。4月に訪露した高村外相も福田首相もこれを述べた。同月27日にモスクワの内藤泰朗記者は、このような発言は「日本国内向けにすぎない」とのロシア側の報道(25日付『コメルサント』紙)を伝えている。
ロシア紙は、「福田首相は、日露の戦略的利害の共通性をしばしば繰り返している」と述べたあと、領土問題発言は国内向けだと伝えているのだ。日本もナメられたものだが、このような見解はロシア側に根強く存在するし、実はその原因の多くは日本側の対露アプローチにある。この点の抜本的な見直しなしには、領土問題の解決も両国関係の真の正常化も永久にあり得ない。
2000年のプーチン政権発足の時点で、ロシア側は北方領土返還要求に関して、日本の建前と本音は別だとの認識を持った。2島引き渡しを約束した日ソ共同宣言を正面に出す日本側の当時の対露アプローチを「4島要求は建前で、日本は2島返還論に接近している」と誤解したのだ。
平和条約問題解決に資するために森喜朗・プーチン会談で創設された「日露フォーラム」の第1回会合(2001年)に日本外務省は、2島論者として長年外務省と対立していた学者をロシアに送り込んでおり、誤解するなという方が無理だ。だからプーチン大統領は、小泉首相が4島返還を要求したことに対して、日本側が約束を破って強硬論に転じたと非難した(2006年、ヴァルダイ会議)。

