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【正論】「胡訪日」以後 いま、中国と「共感」の価値は 東洋学園大学准教授・櫻田淳 (2/3ページ)

2008.5.15 03:27
このニュースのトピックス正論

貧弱なソフト・パワー

 実際、俗に「カネの切れ目が縁の切れ目」という言葉があるけれども、この言葉が国家の関係にも当てはまるのであれば、多くの国々にとっては、現下の中国は、そうした態度で向き合う国の筆頭に位置することになるであろう。中国とは「10億の市場」としての期待があるから付き合っているのであって、そうした期待を越えた魅力が現下の中国に感じられるかと問われれば、筆者は確かに答えに窮する。

 日本にとっては、たとえば米国とは、ベース・ボールがある限り末永く付き合えるし、西欧諸国とは、「騎士道・武士道」の共鳴を下敷きにして料理やファッションのような領域で繋(つな)がることができるし、台湾とは、日本の「kawaii(カワイイ)」文化を共有することで佳き関係を紡ぐことができるであろう。

 けれども、現下の中国には、そうした「共感」を手繰り寄せる材料は、ほとんどない。胡主席が此度の訪日に際して、日中両国の紐帯(ちゅうたい)を思い起こさせる材料として用いたのは、「パンダ」と「法隆寺・唐招提寺」であったけれども、それは、日中両国を結び付ける現在進行形の努力を決して反映したものではない。

 このようにして、中国政府は、自らの「ソフト・パワー」に関する限り、かなり貧弱なものであることを理解したほうがよいかもしれない。現在、軍事力の行使に様々な制約が課せられている国際社会では、国家の「威信」や「声望」を担保するのは、「ソフト・パワー」の実践に依って多くの国々の人々から獲得した「共感」の蓄積である。戦後、日本が刻んだ歳月は、意図したにせよせざるにせよ、そうした「共感」の蓄積に費やされた。

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