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【正論】「胡訪日」以後 次のステップへの可能性も 同志社大学教授・村田晃嗣 (2/3ページ)

2008.5.14 03:04
このニュースのトピックス正論

総花的だが予想以上

 しかし、そもそも、日本国内でも中国に対して「言うべきこと」のコンセンサスが明確であるわけではないし(例えば、靖国問題を見よ)、かりにコンセンサスがあるとしても、「言うべきこと」をどのようなマナーでどのようなタイミングに言うのが最も効果的なのか−−それを考慮することこそ、外交という営みだからである。

 日中両国政府は関係の改善を切望しているが、両国が抱える問題はいずれも深刻であり、国内世論をにらみながら、いたずらに妥協的と見られないようなスタンスをとろうと必死である。そこで、今回の共同声明も総花的で問題先送り的なものになる。日本の国内政治状況を考えれば、なおのことである。

 もとより、今後の具体的進展こそが重要である。地球温暖化対策をめぐってセクター別の規制が有効かどうかは、大いに議論されるべきであろう。また、チベット問題もオリンピック向けの対話だけで終わらせてはならない。白樺ガス田の共同開発問題も然りである。

 とはいえ、今回の共同声明は、率直に言って筆者の予想を超えるものであった(期待値をいたずらに高く設定して、失敗をなじることはたやすい)。北海道洞爺湖サミットに向けて地球温暖化問題での協力を謳(うた)い、日本の国連安保理常任理事国入りに関して、胡主席から肯定的な発言も引き出した。一見迂遠(うえん)で地味ながら、次のステップへの可能性を秘めている。

 かつてフランスの外相タレイランは、馬車をせかせる御者をたしなめて、こう言った由である。「もっとゆっくりやってくれ。私は急いでいるのだから」。もどかしげな福田外交にも、おそらくこうした知恵が働いており、このあたりがプロ受けする外交だと言えるかもしれない。

 だが、そのことは福田外交の影の部分にもつながるように、筆者は思う。つまり、大向こう受けがいかにも乏しいのであり、世論対策やメディア対策がお粗末である。報道に偏見があれば、双方の理解や信頼につながらないと首相は語った由だが、それを織り込んだ上での外交でなければならない。

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