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【正論】「胡訪日」以後 日米同盟と中国の微妙な関係 杏林大学客員教授・田久保忠衛 (2/3ページ)

2008.5.13 02:51
このニュースのトピックス正論

キッシンジャー氏の分析

 対象地域をアフガニスタンにまで伸ばしたはいいが、比較的安全な地帯に軍隊を派遣している国々と危険な地域を担当している国々の間に意見の対立が生じているのはその一例だ。

 NATOとは対照的に冷戦後の日米同盟はさしたる疑問もなく現在に至っている。

 関連するが、キッシンジャー元米国務長官の興味ある国際情勢分析を最近読んだ。来年1月に発足する米国の新政権は、現在世界で同時に進行している3つの革命的なできごとをいかにまとめて新しい国際秩序を形成するかの大問題に直面すると説いているのである。3つとは、欧州が経験しつつある伝統的な国家システムからの変化、イスラム過激派が歴史的な主権国家に突きつけている挑戦、国際問題の重心の大西洋から太平洋ならびにインド洋への移行だ。21世紀のアジアは国際政治の焦点となり、そこでは中国、インド、日本のほか「多分」インドネシアの4カ国が主要なプレーヤーになるだろうという。

 キッシンジャー氏は、その中で力の均衡を保つために米国と中国が互いにいかなる行動をするかが鍵だと述べている。善悪の道徳的基準をいっさい示さないこの人物流の分析だが、米中関係が改善に向かうのか、悪化するのか、曖昧(あいまい)なまま推移するのか、によって日本の運命も決まってくるという冷厳な事実は弁(わきま)えておいた方がよさそうだ。

 つまり、今世紀のアジアにおける国際秩序は米国が生殺与奪の権を握っている。

 今回の胡錦濤主席訪日で東シナ海のガス田開発問題の解決は先送りされたが、開発地域を広げればそこを守るため中国の軍事的プレゼンスはそれだけ増大する。しかも、中国の国防費は公表された数字で日本を超えた。実質はその2〜3倍というのが世界の常識であるから、日中間の軍事力のバランスは中国有利にすでに傾いてしまった。

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