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【正論】「胡訪日」以後 日米同盟と中国の微妙な関係 杏林大学客員教授・田久保忠衛 (1/3ページ)
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日英同盟を日本外交史上の傑作と評価することに異論はない。三国干渉後に満州を事実上支配し、朝鮮半島に触手を伸ばし始めた帝政ロシアに対抗するには大国の英国と組む以外にないと判断した山県有朋、桂太郎、加藤高明、小村寿太郎らには先見の明があった。が、相手の英国はロシアという共通の敵を持っていたとはいえ、日本に特別の好意を持って手を差し伸べてきたのだろうか。
日露戦争前の英国は「栄光ある孤立政策」どころか、同盟国も友好国も持たない孤立無援に頭を悩ませていた。いまの南アフリカを舞台にした第1次ボーア戦争ではボーア人の勇敢さにてこずり、第2次ボーア戦争が近づいていた。いまでこそ米英関係は唇歯の仲かもしれないが、ベネズエラの国境線をめぐって両国関係は一時険悪になった。
ドイツの皇帝ウィルヘルム2世は反英の立場から英海軍に対抗した大海軍計画に乗り出す。フランスとロシアにも英国に同情する感情は皆無だった。ロシアの南下政策から中国における権益を守るためには英国にも日本と結ぶ以外の選択肢はなかっただろう。当然ながら、日英同盟は恋愛結婚ではなく、政略結婚だったことになる。
冷戦下で旧ソ連の軍事的脅威に対抗するためNATO(北大西洋条約機構)や日米安保条約が誕生した。冷戦後NATOは加盟国を東方に拡大しているが、「共通の敵」のいないまま目的は何なのかの議論が続いている。

