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【産経抄】5月8日
このニュースのトピックス:動物園・水族館
軽業(かるわざ)や曲芸、まるで生きているような細工がなされた生き人形など、見世物は江戸の庶民にとって最大の娯楽だった。なかでも人気が高かったのが、海外から連れてこられたゾウやラクダ、ヒョウ、トラなどを見せる動物見世物だ。
▼珍獣たちは、当時の人々の好奇心を満足させただけではない。見るだけで、病気が治ったり、幸運を招き寄せたりする「御利益(ごりやく)」があると信じられていた。もっとも珍しい動物へのあこがれは、古代からあった。
▼正倉院の宝物には、ヒツジや獅子、キリンなどを文様化したものが少なくない。それどころか、日本書紀には、飛鳥時代に、大陸から朝鮮半島を経由してもたらされたラクダやロバ、オウムなどの名前が出てくる。珍獣たちを集めた動物園まであったらしい。
▼“パンダ研究家”の黒柳徹子さんによると、英国の研究文献には、685年に2頭のパンダが中国から日本に贈られたという記述があったそうだ。ただ日本側には記録がなく、謎のままなのだが。
▼中国の胡錦濤国家主席が、上野動物園へパンダのつがいを貸与する考えを表明した。福田康夫首相との首脳会談でも、けんか腰だった、10年前の江沢民前国家主席に比べて、「対日重視」の姿勢は感じられた。とはいっても、東シナ海ガス田開発や毒ギョーザ事件など、肝心な問題は、うやむやのままだ。
▼リンリンはよほどの愛国者に違いない。その大往生がなかったら、日中双方の外交当局は、目玉不足で困っていただろう。前に、パンダを外交の道具にするのはやめたらどうか、と書いたが、貸してくれるというのを、断ることもない。ただあまり恩を着せられても困る。平成の世では、もはや珍獣というほどのこともないのだから。