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【正論】再論「靖国」 官僚の偏向のにおいがする 元駐タイ大使・岡崎久彦 (1/3ページ)
映画『靖国』を私はまだ見る機会はない。しかし試写を見た人から話を聞いた私の理解では、日本刀、靖国神社、昭和天皇を、戦時中の日本のイメージと捉(とら)えて、それを南京事件や百人斬り事件(使用されているフィルムの信憑(しんぴょう)性にはかなりの問題があるようである)の背景として映し出した映画のようである。
映画の芸術性については問題にしない。むしろ、もし私が中国人であり、日本をある程度、外国人としては必然的ではあるが、生齧(なまかじ)りした中国人であったとしたら、戦争中の日本人をイメージするためには、一つの芸術的な手法だと信じても不思議でない。
そして、もし私が、南京事件、百人斬り事件のプロパガンダをしたいという政治的意図があったとしたら、その出来映えに自分ながら誇りを持ったかも知れない。
問題はその作製を日本国民の税金で支援することの可否である。日本芸術文化振興会の助成の対象は、(1)日本映画の企画から完成までの製作活動(2)商業的、宗教的、政治的な宣伝意図がないこと、である由である。
まず日本映画なのかどうかという問題について、製作会社は、日本法人ではあるが取締役はすべて中国人であり、しかも助成金支払いが内定したあと、北京の映画会社を新たな共同製作者として追加した由である。
政治的宣伝意図については、靖国問題を扱うこと自体政治的動機抜きということはあり得ない客観的状況である。また、南京事件、百人斬りは、それを捏造(ねつぞう)または極端な誇張としてでなく、事実として扱うこと自体が政治問題であるのが現状である。
重大な文化庁の責任
右のような条件を比較考量して見ると、政府の助成は正当であると言うためには相当な強弁が必要なことは誰が見てもわかる。国会の質疑応答を読んで見ると、政府側は、ギリギリの答弁をして、なんとか逃げ切っている。

