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【正論】サブプライム問題の意味とは 京都大学教授・佐伯啓思 (2/3ページ)
このニュースのトピックス:正論
バブルによる景気牽引
かくて、IT(情報技術)にせよ、不動産にせよ、あるいは株式にせよ、一種のバブルを引き起こすことによって利益を生み出し、そこで発生する所得によって需要を喚起して景気を牽引(けんいん)する、という考え方が支配的になった。
これは、生活に必要なモノやサービスの供給に経済活動の意味を求めるという「経済=経国済民」の論理からすれば、全く逆転した発想にほかならない。にもかかわらず、先進国において、投機的な金融バブルによる以外に景気を支える方策がないとすれば、それは、今日の資本主義活動そのものの限界ということになる。
アメリカの推し進めたグローバル化によって、先進国の産業競争力は一気に低下し、その結果、先進国ではきわめてリスキーな投資を糊塗(こと)するようなバブル(見せ掛けの繁栄)によってしか景気を維持できない。もしそうだとすれば、これはグローバルな資本主義経済そのものの大きな問題なのである。
過剰なグローバル資本が、住宅の次には資源や食料の商品投機に回るならば、これは経済活動にとって本末転倒というほかない。一国の国民生活の土台は、まさに、資源や食料、土地や住宅によって支えられているからである。さらには、ここに労働(人間そのものである)を付加することもできよう。
医療・家族の崩壊まで?
グローバルな過剰資本によって、一国の生活を支える資源、食料、土地、住宅が投機的に取引され、労働が不安定に商品化され(派遣、アウトソーシング、フリーター、格差問題など)、さらには、医療や家族が崩壊してゆくとなると、経済活動の土台そのものが成り立たなくなってゆく。

