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【正論】サブプライム問題の意味とは 京都大学教授・佐伯啓思 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:正論
現代の経済構造の象徴
アメリカのサブプライムローン問題をきっかけとして世界全体に景気後退の懸念が広がっている。日本も株価低落、円高などによる景気減速にさらされている。
さらに、グローバルな株式市場から引き上げられた過剰資本は、資源や食料の先物商品市場へ向かっており、これらの商品価格にも大きな影響を与えている。
要するに、われわれの生活の基本構造が、サブプライムローンのようなリスキーな投資によって大きく揺り動かされているのである。
サブプライムローン問題が、主として低所得層向けの高リスク融資からくる一時的で特異な問題であればよい。しかし、そうではない。それは、現代経済の構造が生み出した象徴的な問題というべきであろう。
サブプライムローンのような危うい融資を可能としたものは、不動産・住宅バブルであったが、この背後には、90年代以降のアメリカが主導した経済構造の変化がある。端的にいえば、われわれの生活に結びついた財・サービスの生産・供給という「実体経済」から、投機的な資本の運用によって富を生み出す「金融経済」へのシフトである。
ではどうしてこのシフトが生じたのか。
それは先進国においては、「実体経済」における経済活動はほとんど「成熟・飽和」の段階を迎え、また同時に、急速なグローバル化によって低賃金労働を有する発展途上国との過剰なコスト競争にさらされたからである。
言い換えれば、「実体経済」のレベルではもはや十分な利潤機会を獲得できなくなったわけであり、短期的な利潤は不動産バブルとグローバルな金融市場における資本運用に依存する、という構造ができてしまった。

