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既に始まった米中サイバー戦争 (1/2ページ)
米国防総省が3日公表した「中国の軍事力」報告書では、米政府を含む世界のコンピューターネットワーク(CN)が過去1年間、不正侵入にさらされていた事実が暴露された。しかも「発信源は中国とみられる」と記し、中国側からサイバー戦争を仕掛けられる懸念をあらわにした。関係者の間では、米軍偵察機が中国軍戦闘機と空中衝突し南シナ海・海南島に不時着した事件(01年4月)は、サイバー戦部隊を実戦配備している米中両国をサイバー空間で臨戦態勢に就かせた−とされている。戦争の定義にもよるが、米中戦争は既に前哨戦の段階だという見方もできる。(野口裕之)
正面(対称)装備の近代性において、大きく後れを取る中国軍は、その近代性こそ米軍の弱点だと看破しており、CN侵入により、米軍兵器の「脳・目・耳」を無力化する「非対称・混乱戦」に引きずり込もうと、米CN内の偵察を激化させている。
偵察は軍事関係だけでなく交通、通信、金融、電気・ガス・水道などの重要インフラにも向けられている。「敵を撹乱(かくらん)・欺瞞・陽動して主導権を確保、敵に虚を作らせ、一挙にその虚をつく」と説く「孫子の兵法」そのものだ。
国防総省の05年版年次報告書は、サイバー攻撃が重要な戦力だと考える中国軍の思想を紹介。「演習では敵CNへの攻撃が主眼となっている」と(米国も同じ傾向だが)、中国軍が防御より攻撃に重心を移している実態を明言している。
例えば03年9月、「チタン レイン」なるハッカーが米大手軍需企業のCNに侵入。数カ月後には同じハッカーが米国内の軍や核開発、宇宙関係の施設から機密情報を盗んでいる。その中には陸空軍の飛行情報が含まれていたもようだ。米側は、中国広東省在住の3人を犯人と断定、中国軍とのかかわりを確実視している。
中国軍はおびただしい数の専門家から成るサイバー戦部隊を編成しており、その能力は多くの先進国をしのいでいる。近代装備を誇る国でさえ、サイバー戦を戦術レベルでとらえ、情報管理・保全部門の一部で担任させているのに対して、戦略として位置づける中国軍ではサイバー戦部門が独立し、専門の教育機関まで併設されているからだ。