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【正論】今は動くべき時にあらず 日本国際フォーラム理事長・伊藤憲一 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:北方領土問題
「力治国家」ロシアを直視せよ
≪「同じ人間」は安易な考え≫
新しいロシア大統領にメドベージェフが選出された。プーチン大統領は5月7日の任期切れ前に福田首相に会いたいと言ってきた。チャンス到来だ。どういう譲歩をすればロシアは喜んでくれるのか。これが、昨今の日本の対露アプローチであった。そして今や北方領土は、日本から一番遠いところにある。
会うのは結構だが、その前に「彼を知り己を知る」(孫子)必要がある。ロシア人は日本人と違う発想や思考で動いている。然るに、日本人は「同じ人間だ」と安易に考えて、これまで何回も苦汁をなめてきた。
さる2月20日、日本国際フォーラムは、80人の政策委員の連名で「ロシア国家の本質と求められる日本の対露戦略」と題する政策提言を福田首相に提出し、内外に新聞発表した。
私はかねてロシアを「力治国家」と呼んでいるが、「ロシア国家の本質」は「法治国家」や「人治国家」との対比において、無条件、無制限の力が政治を支配していることと、国民の側にそれを受け入れる政治文化があることだ。帝政時代のオフラーナからソ連時代のKGB(国家保安委員会)にいたるまで、「ロシア国家の本質」には無制限の暴力装置としての政治警察マシンが埋め込まれてきた。プーチンの強さはこのようなマシンとしてのシロビキを支配していることにある。
≪プーチン路線は変わらず≫
ホドルコフスキー、ユコス社事件からポリトコフスカヤ、リトビネンコ暗殺にいたる一連のロシア政治の展開の背景にあるものを見なければならない。メドベージェフに対するプーチンの絶対的な自信は、かれがシロビキを掌握しているが、メドベージェフはそうではないことに由来している。「力治国家」ロシアの政治においては、憲法の文言は第二義的なものにすぎない。

