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【正論】9兆5千億円の新たな税収 日本財団会長・笹川陽平 (2/3ページ)
このニュースのトピックス:タバコ
≪未成年の喫煙も抑制≫
この場合、販売価格の90%は税金。たばこは「高級な嗜好(しこう)品」となり、ほぼ間違いなく未成年者の喫煙は抑制できる。民間の調査によると、1箱500円を超えた場合、半数が「喫煙をやめる」と答えており、喫煙率は予想以上に落ち込むかもしれない。
1000円時代のたばこ文化は大量生産、大量消費の中での漫然とした喫煙から、高額の税金を納得した上、健康を強く意識したスタイルに様変わりする。増税分を有効に活用することで、喫煙者が一方的に批判される、とげとげしい雰囲気も緩和されるかもしれない。
何時の時代も大きな改革には既得権益を持つグループを中心に根強い抵抗勢力が存在する。しかし、たばこと同様、心地よい覚醒(かくせい)感を売りにするコーヒーも安いところで1杯250円。冷静に双方を比較すれば、至福のひと時を与えるたばこの1本50円は決して高くはない。
恐れることなく大胆な値上げを提案すべきである。従来のような小刻みな値上げはその場しのぎの財源づくりの色彩が強く、巨額な財政赤字を前に説得性を欠く。いま求められるのは本格的なたばこ論議である。
≪貴重な財産の有効利用を≫
増税に伴う財源の使途も大きなテーマ。日本は03年に世界保健機関(WHO)の総会で採択されたたばこ規制枠組条約(FCTC)を批准しており、条約が目指す「喫煙率を中長期的に減らし国民の福祉向上を図る」施策に活用するのが本来の姿となる。全国的に深刻化する産科医不足の解消策や、患者のたらい回しが急増している救急医療の立て直しなど、必要な事業はいくらでもある。現在2万人前後に上るたばこ農家(生産者)の転作・転業支援が必要なのは言うまでもなく、増収分で十分可能である。

