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【正論】「人権」の正しい歴史認識が必要 埼玉大学教授・長谷川三千子 (1/3ページ)

2008.3.3 02:54
このニュースのトピックス正論

もし「擁護法案」を作るにしても…

 ≪「常識」を反映するが…≫

 いま人権擁護法案がふたたび国会に提出されようとしてゐる。この法案の危険性については2月19日付の本欄で百地章氏がすでに意を尽くした解説をしてをられるので、ここでは少し角度をかへて、もしわれわれが本当の「人権擁護法案」を作るとしたら、それはどんな法案でなければならないのかを考へてみることにしよう。

 3年前に発表された案によれば、この法案の第1条には「人権尊重の理念を普及させ、及びそれに関する理解を深めるための啓発」といふことが目的の一つにかかげられてゐるのであるが、この〈人権についての理解〉といふことこそ、法案を作る人間自身にとつて、もつとも重要なことなのである。人権といふものについて、今更これ以上知るべきことなどない、といつた思ひ上がりほど危険なものはないと言つてよい。

 たしかに一見すると、人権といふものはただわれわれの素朴な常識を反映してゐるにすぎないやうにも見える。たとへば日本国憲法第13条には「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」について「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定めてゐるのであるが、これは古今東西を問はず、およそすべての「よき政治」が目指す大目標として広く認められてきた事柄である。

 国民の生命を守れないやうな国政は失政であるし、さらに注文をつけるなら、国民が自由にのびのびと豊かな生活を楽しむことのできる政治が望ましい−このことに反対する人は一人もゐないであらう。だからこそこれらは「基本的人権」と呼ばれて、人権概念のなかでも最優先の重要課題とされてきたのだ、と理解できるのである。

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