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【正論】イージス艦事故 自衛隊の威信は置き去りに 評論家・西尾幹二 (2/3ページ)
このニュースのトピックス:イージス艦衝突事故
単なる海上の交通事故をマスコミはねじ曲げて自衛隊の隠蔽(いんぺい)体質だと言い立て、矛先を組織論にしきりに向けて、それを野党政治家が政争の具にしているが、情けないレベルである。今のところ自衛隊の側の黒白もはっきりしていないのである。防衛省側はまだ最終判断材料を与えられていない。組織の隠蔽かどうかも分からないのだ。
ということは、この問題にも憲法9条の壁があることを示している。自衛隊には「軍法」がなく、「軍事裁判所」もない。だから軍艦が一般の船舶と同じに扱われている。単なる交通事故扱いで、軍らしい扱いを受けていないのに責任だけ軍並みだというのはどこか異様である。
日本以外の世界各国において、民間の船舶は軍艦に対し、外国の軍艦に対しても、進路を譲るなど表敬の態度を示す。日本だけは民間の船が平生さして気を使わない。誇らしい自国の軍隊ではなくどうせガードマンだという自衛隊軽視の戦後特有の感情が今も災いしているからである。防衛大臣と海上幕僚長が謝罪に訪れた際、漁業組合長がとった高飛車な態度に、ひごろ日本国民がいかに自衛隊に敬意を払っていないかが表れていた。それは国防軽視のマスコミの体質の反映でもある。
≪安保の本質論抜け落ち≫
そうなるには理由もある。自衛隊が日本人の愛国心の中核になり得ず、米軍の一翼を担う補完部隊にすぎないことを国民は見抜き、根本的な不安を抱いているからである。イージス艦といえばつい先日、弾道ミサイルを空中で迎撃破壊する実験を行った。飛来するミサイルに水も漏らさぬ防衛網を敷くにはほど遠く、単なる気休めで、核防衛にはわが国の核武装のほかには有効な手のないことはつとに知られている。

