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【正論】国家のタガがはずれた日本 青山学院大学教授・袴田茂樹 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:北方領土問題
「主権」認識が対露交渉でも大前提
≪無造作に扱われる情報≫
昨年は、最新鋭のイージス艦の機密情報が、自衛官たちによってあきれるほど無造作に扱われ流出していたと報道された。この報道にふれたとき感じたことは、これでは欧米諸国が、安全保障や外交に関して日本をまともな国家、あるいは対等な国として扱うはずがない、ということである。早速米国はわが国に対して強い懸念を表明し、最新鋭の戦闘機の日本への売却を見合わせた。
今年になると、ロシア大使館員が、わが国の情報中枢であるはずの内閣情報調査室の職員を平成10年以来数十回にわたって食事に誘い現金を渡して非公開の情報を得ていた、と報じられた。国際的に見ると、ロシア大使館員が行ったことはお見事とさえ言える情報活動で、国家のタガが外れているのは日本の側である。
グローバル化の時代といわれる今日、環境問題や経済活動だけでなくテロ活動なども国家の枠を超えて生じ、超国家的な対応が迫られている。しかしそれでも、世界の基本的な秩序は主権国家間の関係により辛うじて保たれているというのが現実だ。多国籍企業が存在しうるのも、その秩序のおかげである。
国民国家とか主権といった事柄がすでに過去のものだというのは大きな間違いである。国際秩序の維持および国家の主権を守るということがどれだけの犠牲を伴う真剣勝負の事柄か、今の多くの日本人はリアルに認識できないのではないか。

