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【主張】施政方針演説 まだ見えぬ「福田カラー」
福田康夫首相は初の施政方針演説で「生活者が主役」の行政への転換を主張し、当面は国会乗り切りに全力を挙げる考えを表明した。
しかし、行政のトップが年頭に打ち出す最大の政策集となる演説だと考えれば、骨太の国家ビジョンは見あたらず、内外へのメッセージ性にも乏しい。「これが福田色か」と、国民の胸深く響いたとは到底思えない。
テロとの戦いからの一時離脱など、国会のねじれ現象は政治の停滞を現実に招いている。原油高や株安が加わり、政治不信と連動して生活不安が生じることも懸念される。
参院の多数を奪われた状態では「解散カード」の効果は限定され、国益にかかわる重要政策であっても民主党は協議を拒む。打つ手が少ないのは分かる。であれば、首相はなおさら国民に率直に思いを語るべきではないか。
にわか仕立てだった昨秋の所信表明演説に比べれば、社会保障や経済成長、外交、環境などの政策課題がバランスよく並んでいる。
生活者重視の具体策の一つは、消費者行政の一元化だ。組織防衛を図る関係省庁の抵抗は強く、新組織の制度設計は難航しそうだ。行政改革、公務員制度改革などをめぐり「霞が関にやさしい」といわれる首相だけに、逆に真剣さと手腕が問われる。
社会保障国民会議を設け、給付や費用負担のあり方を与野党が話し合う重要性も訴えた。もっとも、平成21年度に基礎年金財源の国庫負担を2分の1に引き上げるため、消費税をどう組み込むかの議論は待ったなしだ。首相が方向性を示すことが先決であり、財源論議の引き延ばしは許されない。
「平和協力国家」を掲げ、日米同盟と国際協調を基本に責任ある役割を果たしていく姿勢は、自衛隊を迅速に派遣するための恒久法の検討を明記した点と併せて評価したい。
憲法論議の促進にも言及した。改正の核心となる9条について、首相自身の見解が聞きたい。
国民会議も恒久法も、民主党を議論の場に引き出す国会対策上のねらいがあるが、民主党の出方にかかわらず、政府・与党は常に議論をリードし、責任政党としての姿勢を示していくことが重要である。