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【主張】公務員改革提言 これで論議を終わらすな
国家公務員制度の抜本改革に向けた政府有識者懇談会の答申原案がまとまった。
わずか半年の議論という制約もあり、改革の具体的道筋には、なお生煮えの印象をぬぐえないが、「死に至る病」とされる官僚機構の問題点に深く切り込んでおり、改革のあるべき理念を打ち出した点では評価できよう。
答申原案に通底するのは、日本の近代化に一定の役割を果たした官僚制度ではあるが、多様性とスピードが求められる今日では、むしろ弊害が目立ち、このままでは国益さえ損ないかねないとする強い危機意識である。
政治の不在もあって、いまや官僚組織は行政機関の枠組みを超え、立法分野まで事実上取り仕切るほど強大化・肥大化している。事実、政策のほとんどは官僚がまとめ、議会への根回しも官僚が行う。政・官癒着の根本原因とされるゆえんである。
組織の硬直化、自己増殖化も深刻な問題だ。一部の上級職試験合格者だけで幹部ポストを順送りする仕組みもその一つだ。これが「天下り」を生み、いたずらに関連の独立行政法人などを増やし、国費を乱費させる背景にもなっている。
このため、答申原案が最大の改革方針に掲げるのが、「政・官の分離」である。国会議員と各省庁との接触は、閣僚、副大臣、政務官と一部の「政務専門職」に限り、一般公務員による接触は原則禁止するのが基本方針だ。これにより国会議員による口利きなども排除できるとしている。
だが、これには福田康夫首相自身、「(これで立法府側が)本当に正しい判断ができるのか」と慎重な姿勢だ。たしかに、政策づくりや現状把握に向けた資料請求など正当な議員活動も制限されるなら行き過ぎだろう。政府は答申の趣旨を損なうことなく、具体化にしっかりと知恵を絞ってほしい。
提言では、公務員の情報漏洩(ろうえい)にも厳罰化の方向を示した。守秘義務の徹底は当然だが、報道の自由を縛ることにはならないか注意が必要だろう。
有識者懇は22日にも最終案を首相に答申する。公務員改革は、地方分権など行政制度全般の見直しとも密接に関係する。政府は有識者懇の答申をもって改革論議の終わりとせず、始まりだと位置づけるべきだ。