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【産経抄】12月25日

2007.12.25 02:47
このニュースのトピックス薬害肝炎問題

 「僕は、運命というものを感じます」。山本孝史参院議員(58)が、今年6月に発表した手記のなかで語っている。立命館大学在学中に、交通遺児の支援活動に飛び込んだきっかけは、親を亡くした子供たちの作文集『天国にいるおとうさま』との出合いだった。

 ▼山本さんは、5歳のとき、自宅の前で起きたトラック事故で2歳上の兄を亡くしている。悲しみにくれる子供たちの姿が、自分と重なる気がしたという。やがて活動は、病気や災害、自殺によって親を失った子供たちを励ます「あしなが運動」へと発展していく。

 ▼運動の指導者である玉井義臣さんの勧めで留学した米ミシガン州立大学では、老人福祉や死の教育を専攻した。帰国後は、遺児家庭の声を国会に届けたいと、政治の世界に入る。臓器移植法や薬害エイズの真相追及も手がけてきた。

 ▼自らがん患者であることを告白して、がん対策基本法と自殺対策基本法の重要性を訴え、成立に導いた功績は記憶に新しい。「死」を見つめながら、「命」を守る。そんな仕事ばかり、自分に回ってくるのは、「見えない力で、『これはあなたの仕事です』と、言われているような気がします」という。

 ▼健康が許せば、薬害C型肝炎の被害者救済のためにも、奔走していたはずだ。きのう、山本さんの訃報が載った各紙1面のトップ見出しは、「薬害肝炎 一律救済」だった。福田康夫首相が、議員立法で、救済法案を今国会に提出する考えを明らかにしたと伝えている。

 ▼山本さんは、著作のひとつ『議員立法』で、与野党が垣根を越えて、法律を作成することの重要性も訴えている。首相の政治決断の背景は不明だが、こんな想像をしてみる。山本さんの運命が政治の歯車を回した、と。

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