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【正論】日米同盟 現憲法下の“ねじれ”顕在化 京都大学教授・佐伯啓思 (1/3ページ)
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「戦後レジーム」脱却かなえられず
≪静かだが成果は生み出さず≫
福田政権に代わって政治が「静か」になったようにみえる。7月末の参院選から9月の安倍氏の首相辞任にいたるまでの喧騒(けんそう)とは対照的である。
しかし、この「静かさ」は、残念ながら物事が粛々と進行している結果ではなく、むしろ国会がほとんど機能していない点に起因するとなれば実は深刻な事態である。たとえば、火急の課題はいうまでもなくアフガニスタンにかかわる米英を中心とする多国籍軍支援(給油活動)のための自衛隊派遣問題であるが、参院での法案審議は難航している。
直接の原因はむろん衆参両院の「ねじれ現象」にあり、特に参院での審議に応じようとしない民主党の態度は難じられてしかるべきだろう。だが問題の本質はもう少し深いところにある。新テロ対策特別措置法の成立をはかる政府は、日米関係の重視という観点から派兵延長を主張し、一方の小沢民主党代表は、あくまで国連決議(安保理決議か総会決議)のもとでの派兵に限定するという。だがどちらも論理としては決定的とはいえない。自民党の新テロ対策特措法案は、名目上、国連安保理の決議を踏まえたかのように書かれているが、そもそもイラク戦争の経緯からすれば対米協調に基づくもので、実際にはいわば弱い形での集団的自衛権に基づくものとするほかない。
しかし、そうすると例の集団的自衛権は保有するものの行使は不可という従来の内閣法制局見解が障害となる。また、対米支援というものの、アメリカ自身がイラク戦争の失敗を認めているとなれば、本来は改めてこの戦争の意味を論じるべきで、ただ日米同盟のみを根拠にするのは無理がある。

