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【正論】日米同盟 「一極主義」は日本こそ問題だ 慶応大学教授・阿川尚之 (2/3ページ)
米国産牛肉の輸入完全解禁は、国民の食の安全に照らして難しい。理解してほしい。
総論で日米同盟強化をうたっても、個別問題では理解を求めるばかりで何も具体的な行動を約束しない。それでもなお大統領が無理を言わなかったのは、ここ6年ほど日本がテロと戦うアメリカと具体的行動を通じて足並みをそろえてきた、その貯金があるからだろう。
しかし貯金は油断すればすぐに減る。中東長期派兵により兵士の犠牲と巨額な戦費支払いを強いられる米国民が、日本は安全のコストを負担しない。それどころか在日米軍駐留経費の負担分を減らそうと懸命で、同時に米国産牛肉の輸入は許さない−そんな風に捉(とら)えはじめたら、貯金はやがて底をつく。
≪生き残り策に敏感であれ≫
これに対し、なぜアメリカとの関係ばかり重視するのかという強い反論がある。ブッシュ政権は国連決議なしで一方的にイラクを攻撃し、多数の民間人犠牲者を出して中東の混迷を深めた。アフガニスタンも同じだ。日本でも沖縄など各地の基地で過大な負担を強いている。京都議定書にさえ調印しない一極主義の国アメリカに、いつまで追随するのか。
けれどもアメリカやその他多くの国から見れば、わが国も相当一極主義的に見えないか。アメリカは時々ひどくわがままだが、日本もしばしば自らの立場をかたくなに譲らない。ただ両国の一極主義には、一つ違いがある。それは、アメリカは一極主義でも何とかやっていけるが、日本はまったく不可能だという単純な事実である。
わが国は戦前それを一度試みて見事に失敗した。だからこそ戦後、アメリカと同盟を組んで自国の安全を守ると決めた。中国が軍事大国化し、日本の人口が減少しはじめた今、東アジアで生き延びるためには、アメリカとの同盟維持・強化が必須である。無論近隣諸国との友好は大事だが、彼らは日本を守ってくれない。国連も同じだ。

