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おごりが生んだドンの暴走 (1/2ページ)
「きょうの記事、困るんですよ。次官がものすごく怒っています」。平成16年夏から2年間、防衛庁(当時)を担当していたころ、広報担当者から何度も同じようなクレームを受けた。聞けば、内容やタイミングが守屋武昌容疑者の意に沿わなかったという。情報統制にも似た圧力を感じた。
異例の4年にわたり次官を務め、「ドン」として君臨。とりわけ有事法制整備や省昇格は、国防族議員や首相秘書官の懐に飛び込む守屋氏の政治力と行動力なくして、実現しなかったことは確かだ。しかし、長期政権の裏では、後継と目される幹部を更迭に追い込み、忠誠を誓う職員を要職に引き上げる独善的な手法も目立った。
専横ぶりが際立ったのは、守屋氏が政府のかじ取り役を自任した在日米軍の再編協議だろう。担当外の腹心を協議の中心メンバーに据え、自在に操った。その1人が守屋氏の投資資金を預かり、更迭された河村延樹前防衛政策課長だ。「チーム守屋」はパートナーの外務省を袖にし、地元自治体とのあつれきも生んだ。
「たかがローレスごときが何を言うか」。半ば公の席で、守屋氏が米政府の交渉責任者であるローレス国防副次官(当時)を罵倒(ばとう)するのを聞き、耳を疑った。焦点となった沖縄の普天間飛行場移設問題で、代替施設の建設場所をめぐり2人は激しく対立。その渦中、ローレス氏の発言が気に入らないとののしるさまは、横暴そのものだった。
むろん国益上、米政府の言いなりであってはならない。しかし、普天間の問題に限れば、地元が容認する移設案を主張していた米側に理があったと今でも思う。
再編協議は日本側の事情で長期化した。「知日派が政権を去る中、ローレス氏がいなければ協議はパンクしていた」。日本政府内で定着していた評だが、「格が下」と軽視する守屋氏の姿勢を見るにつけ、日米同盟を進化させるという米軍再編の理念が空虚になっていく思いがした。