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海自艦隊 暗闇の中、日本に進路
【アラビア海北部=加納宏幸】海自部隊の派遣根拠法のテロ対策特別措置法は日本時間2日午前0時に失効した。派遣部隊指揮官の第6護衛隊司令、尾島義貴1等海佐は寄港地からの出港を前に艦内放送で、「先輩部隊やわれわれが残してきた航跡は時間がたてば消えてしまうだろう。これまでの活動は、日本の子供たちの将来に笑顔をもたらすものだったと確信している」と隊員らに語りかけた。
海自艦艇はその後、寄港地を出航し、暗闇の中、日本に針路を向けた。
補給艦「ときわ」にはこの日午前、石破茂防衛相からの活動終結命令が伝えられた。午後には艦内の食堂で石破氏からのビデオによるメッセージが放映され、隊員たちが真剣な面持ちで聞き入っていた。
石破氏は隊員の労をねぎらう福田康夫首相のメッセージを紹介し、「任務を立派に完遂できたのは、一人一人が高い士気を維持し、職務に精励してきた結果だ。国益を確保し、国際社会への責任を果たすため新テロ対策特別措置法案の早期成立に全力を尽くす」と強調した。
尾島1佐は記者団に「一緒にやってきた各国の海の男たちが、今もどこかで一生懸命にやっていることは感じるが、われわれは去ることが決まった」と淡々と記者団に語った。
「道半ば」(首相)で粛々と撤収に入った海自艦艇だが、実は約6年間にわたる補給活動の隠された狙いは、ペルシャ湾やインド洋、マラッカ海峡を経て日本に至る海上輸送路(シーレーン)の安全確保だった。
テロ対策特別措置法の失効で海自部隊が撤収し、日本の旗がインド洋から去ることは、原油輸入の9割を中東に依存する日本が、シーレーンの安全確保を他国任せにすることを意味する。
石破茂防衛相が補給活動の重要性を訴える際に引用するのが海賊の跋扈(ばつこ)だ。1991年の旧ソ連崩壊を機にロシア海軍の存在感が薄れ、東南アジアのマラッカ海峡での海賊の活動が顕著になった。
石破氏は「兵力がプレゼンス(存在)していることで抑止力の成果が上がる。インド洋での日本の活動が中断し、抑止力が減殺されていいのだろうか」と語る。
海自補給部隊の撤収直前の10月28日には、ソマリア沖で日本の船会社が運航する化学タンカーが海賊に乗っ取られ、29日にはイラン革命防衛隊の高官が、ペルシャ湾入り口のホルムズ海峡で船舶への自爆テロを仕掛ける可能性を示唆している。
今回の海自部隊の撤収は、単に日本の国際貢献の後退ととられるだけでなく、「バーレーンの多国籍海軍司令部から得てきた情報が確実に薄くなる」(海自幹部)という事態を引き起こし、日本船舶の安全にも影響を及ぼしかねない。