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【主張】新テロ法審議入り 「できれば」では困るのだ
新テロ対策特別措置法案の国会審議が始まった。今国会の最大の眼目ともいえる同法成立の可能性を問われた福田康夫首相は「できればそうしてほしい」と答えたという。だが、首相が希望的観測しか口にできないようでは心もとない。
前防衛事務次官と受注業者の不透明な関係、海上自衛隊の補給活動をめぐる政府内の情報伝達の不備など、足を引っ張る材料が相次ぐことへのもどかしさは分かる。しかし、テロとの戦いに参加する国際協調の象徴であり、国益にも合致するインド洋での補給活動の重要性は、何ら変わっていない。
国内政局や内政課題を優先させる名目で法案を先送りすれば、内向きな国家への変質を対外的に印象づけかねない。その点を、政府・与党は再認識すべきである。
防衛省にまつわる不祥事の続発は、年金記録紛失問題で広がった国民の政治不信、行政不信を増幅させる事象だ。政権課題に行政の信頼を掲げた首相が頭を抱えるのも無理はない。
守屋武昌前次官の疑惑は証人喚問などを通じて真相を解明し、補給活動をめぐる給油量の訂正が隠されていた問題は、防衛省内の対策検討会議で徹底的に洗い直す。それぞれ今後の対応に万全を尽くすしかない。「こんなことでは、法案審議どころではない」という民主党の批判は耳に入りやすいが、野党の常套(じょうとう)句でもある。
自民党の伊吹文明幹事長が、必ず法案を参院に送付すると言っているのは当然のことだが、「国民の前に民主党の選択をさらすため」という理由には疑問点もある。
補給活動の必要性を否定しながら、政府案への対案を明確に示し切れていない民主党に対し、同党が主導権を握る参院で責任ある対応を迫る意義はたしかにある。しかし、政府・与党の責任者が口にすべきは、参院で否決された場合でも、衆院再議決を辞さない心構えではなかろうか。
通常国会に処理を先送りすれば、補給活動は半年以上、中断する可能性が高い。それでも、自民党には「衆院再議決には公明党が慎重だ」「参院で首相問責決議案が可決される」といった観測から先送り論が公然と出る。
民主党の選択を問う前に、与党がまず腹をくくるときである。