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【正論】テロ特措法 衆議院議員、弁護士・稲田朋美 海自給油は合憲の国際貢献
■キテレツな小沢民主の主権放棄
≪海自給油が違憲なら≫
11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法に代わる新法が閣議決定される。目的を、海上でテロリストの動きを監視(海上阻止活動)する各国艦船への海上自衛隊による補給活動に限定し、期限は1年。
周知の通り民主党の小沢一郎代表は新法案についても反対の立場をとり、与党側からの協議の呼びかけにも応じないというが、問題はその理由である。
小沢氏はインド洋での海自の活動が憲法違反であると主張する。もし、そうなら、平成13年12月以来、米英独仏パキスタンなど11カ国と交換公文を結び、海上阻止活動(OEF−MIO)への給油活動という違憲行為を6年間も続けてきたことになり、さらにその根拠となる現行のテロ特措法自体が違憲立法だった、ということになってしまう。
そうなれば、民主党が主張し続ける「国会の事前承認」の要否など無用の議論となる。さらに海自のインド洋での補給活動が違憲という論をとれば、新法案の内容がどうであれ、テロ特措法と同様新法も違憲立法ということになるから、反対の立場を貫くというのはわかりやすい行動である。
しかし、そう単純な話でもないらしい。小沢氏は憲法違反を主張すると同時に、自衛隊の支援活動を根拠づける国連安保理決議がないことが一番の問題だと主張しているからだ。
小沢氏のこれら主張を矛盾なく説明するとすれば、「自衛隊の海外派遣が『武力の行使』であっても、国連安保理決議があれば憲法違反にならない」「違憲である『武力の行使』も国連安保理決議があれば許される」といえなければならない。
≪特異で奇怪な9条解釈≫
現に小沢氏は、民主党が政権を取れば、アフガニスタン本土での国際治安支援部隊(ISAF)への参加を実現すると公言する。アフガンでの同活動を具体的に承認する安保理決議1386があるからだ。
今のところ参加を民生分野の支援に限ると表明しているが、小沢氏の論理では、アフガンでの陸上自衛隊の支援活動に「武力の行使」も含まれてもよく、「武力の行使」を含む支援活動を行うために積極的に自衛隊を海外に派遣することも可能になる。これも憲法上の問題が安保理決議で不問になるというのだろう。
小沢氏はその著『日本改造計画』以来、国連平和維持活動に協力する国連待機軍を創設して海外での武力活動に参加することは憲法9条に違反せず、むしろ憲法の精神に合致すると主張する。国連を国家主権より上位のもの、国家主権を超越するものと考えているようだ。
しかし憲法9条を、国連の平和活動への協力ならば「武力の行使」ができると読むのは無理な解釈である。現憲法下で許される「武力の行使」は自衛権の行使(集団的自衛権の行使を含むかは議論がある)の場合だけであり、自衛権を離れて「武力の行使」を可能にするには、憲法改正が必要である。
他方、自衛隊の海外支援活動に関する国連決議の内容が十分であったかどうかは、憲法問題ではなく、政治判断の問題である。小沢氏のように国連決議によって「武力の行使」も合憲になるという特別な国連観を持つならば、決議の具体性が憲法解釈に直結する問題となるのだろうが。
≪海上交通確保の国益も≫
従って、国家主権の上位に国連の存在を認める小沢民主党から「国連決議の根拠がない」といわれても、法的問題として神経質に反論すること自体がナンセンスだ。主権国家であるという前提で議論する限り、問題は、「武力の行使」でない自衛隊派遣を決断することが国際情勢や日本の国益からみて政治的に正しいか否かであり、国連決議の内容は判断材料のひとつと考えれば足りる。
9・11テロでは、日本人も24人が犠牲になった。その翌日、全会一致で可決された安保理決議1368は、9・11テロを国際の平和および安全に対する脅威とし、テロ行為を防止し抑止するため一層の努力を国際社会に求めた。先月ロシアを除く賛成多数で可決された同決議1776は、海上阻止活動を含む多くの国の貢献に対する評価を表明、活動継続の必要性を強調している。
海上自衛隊がインド洋上で補給活動を継続することは、日本が国際社会の一員としてテロとの闘いに貢献するという国際的な責任を果たす意味でも、またインド洋の海上交通確保という日本の国益にも合致するという意味でも、政治的に正しい選択である。(いなだ ともみ)