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【やばいぞ日本】第3部 心棒を欠いている(1) (4/4ページ)
このニュースのトピックス:やばいぞ日本
英国の作家、ジョージ・オーウェルはこうした安全保障の盲点を半世紀以上も前に述べている。「平和主義者。彼らが暴力を“放棄”できるのは、他の人間が彼らに代わって暴力を行使してくれるからだ」(『オーウェル評論集』岩波文庫)
多国籍軍に陸上部隊や艦船を送っている各国には、日本のテロ特措法が政局の「人質」にとられたとしか映っていない。米誌ニューズウィーク最新号は「無責任政治に国外から大ブーイング」と皮肉っている。少なくとも米国には、「安全保障をめぐる党利党略は水際でとどめよ」という伝統がある。共和党も民主党も、一朝有事には自国を守ることを優先して決定的な対立を避けるのだ。
それが君子のならいというものである。まして「高鈴」事件のように、米国など多国籍軍の犠牲のうえに日本経済が支えられていることを忘れては信義にもとる。
国連安保理事会は19日にアフガンの国際治安支援部隊(ISAF)の任務を延長する決議を採択し、日本の補給活動などへの「謝意」まで盛り込んだ。日本は少ないリスクで、予想以上に感謝される任務についている。
いまも「高鈴」は26日現在、海自艦が警戒するインド洋の北側、アラビア海を西に向かって航行している。数日後にはそのペルシャ湾に入ることになるだろう。
日本郵船の関根博さんは、テロ特措法がなくなって日本のタンカーが無防備になることをもっとも恐れる。
「タンカーは危険地域でも行かねばならない。ペルシャ湾内もできれば海自艦に守ってほしいがそれができないからインド洋で補給活動をしていると理解している」
国際社会でテロ、侵略、恫喝(どうかつ)をなくすことは不可能に近い。日本という有力国が、一国の勝手な都合だけで脱落することは、他に危険と負担をツケ回すことに等しい。(湯浅博)