ニュース:政治 RSS feed
動揺せず「任務粛々と」 インド洋補給活動 (2/3ページ)
両艦の距離は、駆逐艦の乗組員の顔のひげが確認できるほどに近い。舵(かじ)を誤ればすぐに激突してしまう。燃料を満載しているだけに、危険と隣り合わせの作業だ。
「海上の無料ガソリンスタンド」(民主党関係者)という牧歌的な批判とはほど遠い、命がけの仕事だ。
「ときわ」から駆逐艦の甲板めがけ、ロープを発射。パキスタン艦の乗組員たちが素早くそれをたぐり寄せる。その後、両艦をつなぐ太いワイヤが渡され、それを伝って3本の給油・給水ホースがパキスタン艦の給油口に手際よく接続される。
3時半。この日は100キロリットル余りの軽油を流し込んだ。作業を終えた隊員たちは、甲板上に直立不動の姿勢で整列。パキスタン艦を見つめ続け、高速で去っていく駆逐艦に大きく手を振った。補給艦の艦長、菅原貞真2等海佐(54)は「海自艦船に補給を行うときはこの3分の1の時間で終わる。だが、知らない相手艦とコミュニケーションをとる分だけ作業は難しくなる」と多国籍軍との連携の困難さを語る。これまで補給作業の失敗はゼロ。「常に100%の能力を発揮しなければ成功しない」(菅原艦長)と隊員らの練度の高さに胸を張る。
将来のために
一報は、家族からの電子メールだった。安倍首相が辞任を表明した12日。衝撃的なニュースは艦内に瞬く間に広がった。甲板作業員長の増田昭夫曹長(48)は「隊員に驚きはあったが、動揺はなかった」と淡々と語る。菅原艦長も、「どなたが最高指揮官になろうとも、われわれは与えられた任務を粛々と実行するだけだ」と語る。
ただ、「ときわ」と「きりさめ」の2隻を指揮する派遣海上支援部隊指揮官の尾島義貴1等海佐(47)はこう語る。「みなさんのお子さん、お孫さんが将来、笑って暮らせる日本をつくるためにわれわれはここで活動している。そんな国につながるような結論が得られればいい」
補給活動の延長に「職を賭す」と語っていた安倍首相の言葉が脳裏をよぎったのか。