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【やばいぞ日本】第1部 見えない敵 番外(完)底知れぬ「中国株式会社」 (3/3ページ)

2007.7.26 08:05
このニュースのトピックスイージス艦衝突事故

 「中国株式会社」の底知れぬ恐ろしさを示す例をいくつか挙げよう。

 前述の「情報脅威ハンドブック」によると、中国のスパイ活動には特徴がある。旧ソ連国家保安委員会(KGB)のような「小人数のプロの工作員」ではなく、むしろ「素人に近い多数の工作員」を重視するというのだ。中国情報機関は必ずしも工作員を直接コントロールせず、目的を特定せず、より長期的でより広範な情報収集活動を好むらしい。

 誰もがスパイになるかもしれない中国式「人海戦術」は摘発が非常に難しいと「ハンドブック」も認めている。

 技術情報の取得は合弁事業を通じても行われる。フランスの食品大手「ダノン」社は1996年から中仏合弁事業に数千万ドルの巨費と最新技術を投入し、中国でヨーグルト飲料などを販売してきた。2003年ごろから似たようなコピー商品が市場に出回り始めたので調べてみると、何と犯人は合弁相手の中国人パートナーだった。勝手に秘密工場を建て、ダノンの技術でコピー商品を製造販売していたらしい。似たような話は日本の大手企業などでも起きたといわれる。

 善意で始まったはずの日中合弁事業がこのようにして頓挫したケースは決して少なくない。

 最も懸念すべき点は、「中国株式会社」が「武装」していることだ。人民解放軍は巨大であり、冒頭紹介した米国でのスパイ活動の重点も軍事情報であった。

 中国経済の発展が軍備拡大を支え、強大な軍事力が国際政治上の発言力を強め、それが経済発展をますます促進するという大規模な「好循環」は既に始まっている。

 これに対する日本のシステムはあまりにも脆弱(ぜいじゃく)だ。「中国株式会社」の不公正取引を真正面から指摘する政治家・官僚はまだ少ない。

 最近のイージス艦情報事件やデンソー事件の発覚にもかかわらず、日本における中国の軍事・産業スパイ事件に対する反応は総じて鈍かった。

 「中国株式会社」がいかに歪(いびつ)なシステムであっても、資金流入が続く限り、当面拡大再生産は続き、国際競争力も高まる。

 中国の経済・軍事力の拡大が不可避である以上、今の日本に必要なことは中国と「政治的」に互角に渡り合える「国家としての体力」を回復することではなかろうか。(寄稿 宮家(みやけ)邦彦)

 宮家氏は05年に外務省退職、06年から立命館大客員教授、総理公邸連絡調整官。AOI外交政策研究所代表。53歳。

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