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【分権の壁 第1部 歪みの構造】(上)かき消された警鐘 (2/3ページ)
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篠山市誕生からおよそ2年後、「地方にできることは地方に」と改革路線を訴える小泉純一郎氏が首相に就任し、大合併の機運を後押しした。三位一体改革による税源移譲。地方自治体の裁量に任される予算が増えるという触れ込みに、篠山市も欣喜した。
だが、思惑ははずれた。
移譲額で増えた税収よりも削減額の方が多かったのだ。国から篠山市への交付税は三位一体改革後、約15億円減った。合併当初の財政計画で18年度に173億円と想定した歳入(市税と交付税の合計)は141億円にとどまり、32億円の差が生じた。増田寛也総務相も「三位一体改革による交付税削減のスピードは自治体にとって大変つらいものがあった」(今年2月の参院総務委員会)と認めざるを得なかった。
人口減も目算を狂わせた。
市は21年度の人口を、合併時よりも約1万3000人多い6万人と想定していたが、過疎は進んだ。
ツケは住民にまわされた。水資源が不安定な篠山地域は4年前から県営水道の受水を始めたことへの投資と、人口増を前提にした誤った需要予測もあり、水道料金が約3割アップした。3年後にはさらに4割上がる見込みで、住民からは「節水を心がけたら、市の人から『もっと使わないと、もっと高くなる』といわれた」との声が出る。
酒井市長は「財政破綻は不可避だ」と宣言するとともに、諮問機関「篠山市民再生会議」を発足させた。
再生会議が昨年11月に提出した「篠山再生計画」の1次答申は、「合併後は、人口も歳入も増えるはずだという固定的な発想から抜け出すことができなかった」と指摘した。
合併推進派だった森本氏は、「結局、国にうまく使われた。でも、そこを見抜けなかったのは地方の弱いところでもある」
酒井市長は秋にも再生計画を提示する。毎年15億円程度発生する赤字を解消し、財政破綻回避に必要な歳出2割削減を実現するため、支所廃止や公的施設の休止、合併時から約25%減らした職員数のさらなる削減も検討する考えだ。
酒井市長は「こうなった以上は、今の取り組みを合併自治体の再生モデルにしたい」と語る。
大合併の先駆者が、再生の先駆者として注目される日は訪れるのか−。