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【産経抄】6月23日
このニュースのトピックス:慰安婦問題
昨年3月、合併によりその名が消えた奄美大島の旧名瀬(なぜ)市で、長い間「論争」が続いた。名瀬は「なぜ」と読むのか「なせ」なのかをめぐってだった。市議会で「なぜナセをナゼと言うのか」と、大まじめで質問する議員もいたという。
▼地元の人にとって、地名はその読み方にもこだわりがあるということだろう。地名の読み方といえば、小笠原諸島にある「硫黄島」がこれまでの「いおうじま」から「いおうとう」にと変更された。国土地理院と海上保安庁が、小笠原村の要望を受け入れて決めたという。
▼先の大戦での激戦の島である。最近では、日米の映画にもなった。戦前まで地元での読み方は「いおうとう」だった。当時から一部では「いおうじま」という人もいたらしいが、戦後20年以上、この島を占領していた米軍がこう呼んだことから定着したという。
▼地元にとって、ようやく「戦後」や「占領」が終わったということかもしれない。ところがこの呼称変更に米国社会がクレームをつけている。米国でも「イオウジマ」だったからだ。どこまで本気かわからないが、あるテレビ局は「日本が歴史を書き換えた」と伝えたそうだ。
▼米国にとって「イオウジマ」は、大戦での輝かしい勝利を象徴する地名である。それだけ旧軍人を中心に不満が多いという。勝利に誇りを持つのは当然だ。だがそのことで島を奪われた地元民の気持ちをくめないというのなら、日本流に言えば「傲慢」である。
▼戦後、日本を占領した米国は日本人に歴史観を押しつけた。大戦の名称も「大東亜戦争」を「太平洋戦争」に変えさせた。「硫黄島」への反応や慰安婦問題をめぐる対日批判決議の動きを見ると、まだ占領軍のつもりかと問いただしたくなる。