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後期高齢者医療改善策 ハードルは財源

2008.5.15 00:11
このニュースのトピックス年金問題

 75歳以上が対象の後期高齢者医療制度(長寿医療制度)について、政府は6月中に運用面での改善策をまとめるが、低所得者に対する激変緩和策の拡充が柱となる見通しだ。最大のハードルは財源。拡充には巨費が必要で、「別枠予算」として新たな財源を確保できなければ、政府の社会保障費抑制路線がなし崩しになりかねないためだ。福田康夫首相は4月30日の会見で、「道路特別会計などのムダを排除する中で捻出(ねんしゆつ)する」と述べており、一般財源化される道路予算をどの程度回せるかが焦点となりそうだ。

 「基本的には市町村の仕事だが、何らかの救いの手を差しのべることが可能か検討していい」。舛添要一厚生労働相は14日の衆院厚労委員会で、新制度導入に伴い約8割の自治体が75歳以上への人間ドック助成を打ち切ったことについて、見直しが必要との考えを示した。終末期治療方針を作成した医師に支払われる診療報酬「終末期相談支援料」の改善も約束した。

 厚労省の江利川毅事務次官も同日、65〜74歳の重度障害者に対し医療費助成の条件として新制度加入を義務付けた10道県に対し、見直し要請を行った。

 政府・与党内で有力なのが激変緩和策の拡充だ。子供や夫などの扶養家族でこれまで保険料を負担してこなかった約200万人に対する「今年4月からの半年は保険料無料、その後の半年は9割免除」という軽減策の期間延長や、保険料軽減の判定基準を世帯所得から個人所得に変更する案が浮上している。

 だが、これらの案はいずれも巨額な費用がかかるのが課題だ。例えば、約200万人への免除をさらに半年から1年延長させる場合、対象者を現在の75歳以上のままとしても最低40億円、来年75歳になる人も含めると350億円程度は必要となる見通しだ。

 収入が基礎年金だけの人の保険料を全額免除する案は年約2000億円かかる計算で、「介護保険などの制度も一緒に免除すると必要額は4000億円を超える」(厚労省幹部)。70〜74歳の窓口負担2割への引き上げ凍結の延長案も年1400億円を要する。

 ただ、政府は基礎的財政収支黒字化のため、平成19年度からの5年間で1・1兆円の社会保障費の自然増抑制も行ってきており、「社会保障費抑制方針を外してもらわないと、財源捻出できない」(自民党厚労関係議員)のが実情だ。

 厚労省では、年金天引きの選択制や終末期相談支援料の廃止など数億円のシステム改修で済む案も検討されている。だが、与党内には「中途半端な改善では、国民の反発を招く」(自民党中堅)との見方も強い。

 揮発油(ガソリン)税に対する国民の批判が根強いこともあり、「国民の理解を得るためにも、道路予算の一部を後期高齢者医療制度の負担軽減策に回すべきだ」(自民党若手)との声も広がりつつある。

 6月にまとめる21年度予算案の「骨太の方針」で、福田政権が改善策に伴う経費を「別枠予算」とするかどうかが、当面の焦点となりそうだ。

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