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【お年寄りを孤立させない】(下) 障害者支援を基盤に (1/3ページ)
このニュースのトピックス:防災・交通安全
和歌山市の「麦の郷」は障害者の共同作業所など、市内に点在する20以上の施設や事業所の総称です。始まりは障害者支援でしたが、今はその施設や人材を生かして高齢者が住み続けられる街づくりにも取り組んでいます。背景には、30年にわたり、障害者を支え、ともに歩んできた住民の高齢化があります。(寺田理恵)
精神障害者の貴志由江さん(49)は1年半前、障害者地域ホーム「たつのこ」に開設と同時にやってきた。2階建て民家を2軒つないだ建物で、麦の郷の職員が交代で当直する。見守りが必要な貴志さんは、昼間は共同作業所などで働き、夕方、ホームに帰って職員と夕食をとる。
たつのこは、障害をもつ子を50年世話してきた母親が「最期まで子供といたい」との願いから、隣家を買い取り、自宅とともに麦の郷に提供してできた。重度の障害をもつ子の親は、高齢になれば老人ホームへ、子は更生施設へ入所するケースが多い。しかし、持ち家をホームとして開放したことで、母子は離ればなれにならず、今も住み続けている。
「麦の郷」の伊藤静美理事は「生まれ育った場所なら、愛称で呼ぶ近所の住民や、ずっと髪を切ってくれている散髪屋さん、子供のころから知っている人が見守る中で生活できます」と話す。
障害者を支援してきた麦の郷だが、保護者や支援者が高齢になり、どうすれば高齢者が住み慣れた街で暮らし続けられるかが、課題となっている。伊藤さんは「麦の郷を長年、支援し続けた女性の看取(みと)りがきっかけです。遠くに住む親類には、独身で好きなように生きた人でも、私たちには尊敬すべき人。麦の郷の訪問看護やヘルパー派遣を活用して、彼女を知る人に見守られ、尊厳をもって人生を終えました」という。

