MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

【明日へのセーフティーネット】再生の手がかり(5)「告発力」 (1/2ページ)

2008.4.13 08:39
このニュースのトピックス「明日へのセーフティーネット」

呪縛解き 支える側に立つ

 東に太平洋、西に阿武隈山地が広がる人口約3万2000人の茨城県高萩市。ここで平成18年2月、児童養護施設で育った草間吉夫氏(41)が、施設出身であることを公言して市長選に挑み、当選を果たした。現職や議長経験者ら有力候補を破っての当選だった。

 草間氏は「不幸な出生を背負った立志伝中の人などと思われると、むしろ迷惑だ」と、自著『ひとりぼっちの私が市長になった!』で記すが、彼の生い立ちは複雑だ。

 私生児(非嫡出子)として生まれた草間氏は、生後すぐに乳児院に預けられ高校卒業まで19年間、同市の児童養護施設「臨海学園」で過ごした。その後、東北福祉大学に進学。施設指導員などを務めた後、松下政経塾で学び、3カ月の準備で市長選に立った。

 施設出身者を取り巻く現状は厳しい。著書では、精神疾患を患い生活保護を受けていた母に抱いた複雑な心情や、腕力がものを言う施設内の上下関係やいじめについても取り上げている。

 「人なつっこい子でしたが、明るい顔をしていても、心の底では多くの悩みを抱えていたんでしょうね」と臨海学園時代の草間氏に指導員としてかかわり、現在は園長の大橋正男氏(62)はいう。

 「施設の子」は、いったん施設を出ると、身寄りがいないか、いても頼りにできないため、就職するにもアパートを借りるにも、身元保証人の引き受け手もなかなかいない。結婚となると、施設出身であることを理由に断られることは珍しくないという。大学全入時代を迎えるなか、臨海学園から大学へ進学したのがいまだに草間氏1人という事実も、施設の子供たちが置かれた現実を物語っている。

 草間氏も「生い立ちは負の元凶」と思っていた。しかし、この気持ちを転換させたのが、生い立ちを告白する「スピークアウト」の経験だった。最初の告白は、松下政経塾の入塾願書の作文。生い立ちのありのままをぶつけた。結果は合格だった。このとき、「なんで、おれだけ」「施設の子」という幼いころから続いてきたマイナスの呪縛(じゅばく)を初めて自力で解いた気がした。

関連トピックス

PR
PR

PR

イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。