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【明日へのセーフティーネット】現場はいま(10)SOS (1/3ページ)
不正はしてほしくない
第1部の連載中、匿名メールが届いた。「実は私も主人のDVに8年悩まされています。現在進行形です。殴られる度に『今回は我慢しよう、次殴られたら、絶対出ていこう』って思うんだけど、後々のことを考えると行動に移せなくて」
夫との間には、幼い子供たちがいるという。「このままじゃ、私も子供もダメになると思っています。でもどこに助けを求めればよいのか、分からないので、我慢するしかないのかな。このまま暴力が落ち着くまで、泣き寝入りなのかなと考えています。主人の顔色をうかがって毎日過ごすのは疲れました」
大阪府女性相談センターの担当者は「まず、地元の相談機関の連絡先を知ってほしい。行政がどういう支援を用意できるのかを理解してほしい」と話したうえで、「もし、安全を脅かされるような状況ではなくても、当事者を孤立させないため、つながり続けている誰かがいることは、とても大切になります」とも語った。
その後、女性の状況は少し落ち着いたようだ。「またいつ機嫌が悪くなるかが分からないので、機嫌を損ねないように気を使う毎日です。このストレスは半端なものじゃないけど、暴力を振るわれるよりはよっぽどマシかなと思ってます」
所在地も年齢も分からず、あるのはメールのやりとりだけ。「話を聞いてくれるって思うだけで、心強い」「もちろん『助けてください』なんて、そんなことは言いません。ただ独りで、いろいろ悩んだり将来のことを考えたりすると、無性に現実から逃げたくなったりすることがあるんです…」
不条理のなかで踏みとどまり、時に息をひそめながら、生き抜こうとしている人がいる。人々のSOSに応えるには、しっかりしたセーフティーネットと、福祉のプロの存在が欠かせない。
「お父さんお酒を飲まないで」。大阪市内のアルコール中毒の男性の自宅には、部屋ごとにそんな習字の張り紙が張られていた。男性の世帯は生活保護を受け、家事の一切は、当時小学校5年生だった長女が担っていた。