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【明日へのセーフティーネット】現場はいま(9)ケースワーカー (1/2ページ)
「仕事をしてほしいねん」
年間約500億円と福岡市に匹敵する生活保護費が支出されている大阪市西成区。平成12年に完成した区役所庁舎の3階フロアは、全面が生活保護の担当部署だ。スタッフの数は増え続け現在約200人。机を増やすためにフロアの休憩室もなくなった。レイアウトの担当者は「この階では、もうこれ以上、机は増やせない」という。
3階中央部には、ボードで仕切られた面接相談室のブースが13部屋並び、ひっきりなしに相談者が訪れる。この日は糖尿病で通院している中年の女性に女性ケースワーカーが生活保護の受給が決まったことを知らせていた。
「来月分はとってもらうように約束を取ったから。ただうちで受ける条件として、仕事をしてほしいねん。仕事が見つからなくても、仕事を探している経過を教えてほしいねん」
「毎日ですか?」
「毎日とはいわへんけど。一番いいのは今月中に仕事が決まって来月から働けること。決まらなくても就職活動はしてほしい。ハローワークでもらってきた資料とかみせてほしいねん」
「うそをつかへんようにということやね」
「そうはいわへんけど。それじゃ、ここに宣誓書書いてくれる? 保護率あがっているから最近はどこでも宣誓書を書いてもらってるねん」…
大阪市の多くのケースワーカーたちが「生活保護を取り巻く状況はここ数年で、急激に変わってきている」と口をそろえる。30年近い経験を持つベテランは、「生活保護を受け取るときの変な劣等感がなくなってきたという見方もできます。しかし、『もらわな損』と権利ばかりを主張する人が増えたというのも率直な印象です」
区内には、2軒に1軒が生活保護を受けているようなアパートもある。別のケースワーカーが生活保護受給者を訪問した際、同じアパートの住民に囲まれ「うちにも保護かけて」と口々にせがまれた。区役所で離婚届を出したその足で、生活保護の申請に来る人もいる。「母子家庭になったら保護を受けられると聞いたのに…」と不満を口にする母親に、「母子家庭でもがんばっている人はいくらでもいてるで」。担当者はそう切り返すのが精いっぱいだった。