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【主張】社会保障カード 課題対応の説明も丁寧に
政府が平成23年度の導入を目指している「社会保障カード」の基本構想を、厚生労働省の有識者検討会がまとめた。現在、ばらばらに発行されている年金手帳と健康保険証、介護保険証を1枚に集約し、国民全員に配布する。希望者は顔写真入りにして、身分証明書としても利用できる。
導入されれば、家族が同時に病気になった場合などの不便さがなくなる。引っ越しや転職でも再交付は不要だ。自宅のパソコンで、自分の年金記録の確認や住所変更も可能となる。いまや多くの国民は何らかのカードを持っており、その利便性は広く認識されている。社会保障カードの導入も世の流れから見て当然だといえよう。
ただ、基本構想は個人を特定する識別方法の結論を先送りした。転職や結婚などに伴う二重付番や手続き漏れといったミスをなくすためには、1つの番号で個人を特定できたほうが効果がある。各制度共通の「社会保障番号」の導入を求めたい。
共通番号にすれば、制度をまたがって個人のサービス利用状況を把握することが可能だ。過度の負担となっている世帯に減免措置を講じることも期待できる。
しかし、政府が年金記録や健康・介護情報といった高度な個人情報を一元管理できるようになることには、情報漏れやプライバシー侵害の懸念も強い。悪意の書き換えが起こったら被害は計り知れない。偽造が難しいICカードを使用するというが、本当に危険性はないのか。政府には利点だけでなく、運用コストを含めたさまざまな課題や指摘にどう対応しようとしているのか、丁寧な説明を求めたい。
社会保険庁職員は年金記録をのぞき見して外部に漏らしていた。自衛隊員がパソコンを持ち出し機密データが漏れた事件もあった。国が個人の情報を本人の了解なしに使うことがないよう、法的整備を含めた規制策の検討も必要だ。さらに、住基カードなど政府の他の番号システムとの連携についても検討を加えるべきだ。
今回の検討は、年金記録のずさんな管理を放置してきた厚労省の主導で進められている。国民の信頼を得たカードにするためにも、厚労省以外のチェックも必要だろう。