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【年金問題報告書5】「今もない業務観察」
(内部監査等に関する調査から)
社保庁の監査部門が行っている内部監査には次のような問題がある。
(1)本庁内部部局、社会保険業務センターなどに対し、平成16年度まで実施されておらず、業務監察は現在も実施されていない。(2)社会保険事務局・事務所に対する会計監査については17年度から指摘が増加しているが、16年度までは全く指摘がなかった。また、業務監察については15年度まで分析が行われていなかった。(3)会計監査や業務監査の結果は、17年度以降、庁内LANに概要を掲示するのみで、詳細などを示すべきだった。
・業務監察や地方監察では全体的な実施状況を確認するのみで、個別の年金記録の内容の正確性等のチェックは行っていない。
・社保庁などが行う特別監察は、不祥事の発生などに実施することになっているが、社保庁で横領などが発生したのに、これを実施していないケースがある。
・社保庁は不正事故防止のための点検事項を策定し、地方に文書で通知するなどしていたが、それ以外の積極的な取り組みは15年度まで行っていなかった。組織的な取り組みは16年度以降、年金個人情報の業務目的外閲覧の不祥事を契機に本格的に開始された。社保庁の内部監察機能は強化されてきているが、現在の仕組みは必ずしも十分とはいえない。国税庁などでは、不正防止・不正摘発を専門的に処理する相応の体制を整えていたことを考えれば、社保庁はこうした体制上の不備があった。今後は年金記録にかかわるシステムや業務の監察の外部監査の視点も重要だ。
(年金記録の保管状況に関する調査)
・社会保険事務局、215の社会保険事務所の年金記録の保管状況を調査した結果、厚生年金保険は、2社会保険事務局、7社会保険事務所が戦災などにより一部消失したとされる。3社会保険事務所は国民年金手帳記号番号払出簿を全く保管していないとしている。
・国民年金被保険者名簿は、社保庁の19年8月28日時点での調査結果では、3097旧市町村が保管しており、149旧市町村が保管していないとなっていた。委員会が178旧市町村の保管状況を調査した結果、保存期間が国民年金制度発足以来とそれより短い期間もあった。
◎約1430万件のコンピューター未収録の厚生年金保険記録
・約1430万件の記録とは、厚生年金保険の被保険資格を昭和29年4月1日以前に失い34年3月31日までに再取得していない者に関する被保険者台帳であって、磁気テープに収録されず、マイクロフィルムにより管理されている記録の62年3月時点の件数だ。
・約1430万件の記録をオンライン化しなかったことについて、社保庁は使用頻度が低いと見込んだためと説明している。しかし、記録が使用されオンライン化したものがサンプル調査によれば15・2%ある。このようなことを踏まえれば、オンライン化しないという判断を継続し、オンライン化作業に取り組まなかったことは問題があったと考えられる。早期にオンライン化すれば、記録の検索、基礎年金番号との統合も容易に行えたと考えられる。
◎約36万件のコンピューターの未収録の船員保険記録
・約36万件の記録とは、船員保険の被保険者資格を昭和25年4月1日以前に失った者の台帳で、磁気テープに収録されず、マイクロフィルムで管理されている記録の62年3月時点での件数だ
・オンライン化しなかったことについて社保庁は、使用頻度が低いと見込んだためと説明している。しかし、サンプル調査の結果では、記録が使用されオンライン化したものが60・3%ある。このようなことを踏まえれば、オンライン化しないという判断を継続し、その後オンライン化作業に取り組まなかったことは、明らかに判断上の誤りがあったと考えられる。