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【仕事人】サントリーウイスキー主席ブレンダー・藤井敬久さん(46)ウイスキー原酒を磨く樽一筋 (1/3ページ)
このニュースのトピックス:仕事人
「鼻にツーンとくる煙臭いだけのときもあれば、甘いバニラの香りがするときもあります」
ウイスキーの樽(たる)の内側を焼いたときの話だ。
熟成に最も影響を与える焼き方には、2種類ある。直火による強い火勢に数分さらす「チャー」。ヒーターで間接的に30分ほど加熱する「焙煎(ばいせん)」。透明な状態で樽に詰められたウイスキー原酒は、焼き方や樽材に用いる木の違いなどによって、味わいの異なる深い香味を備えた琥珀(こはく)色の液体へと熟成していく。
「木は焼くことで、表面や中の成分が分解されて原酒に溶け込んで甘い熟成香を生み出し、炭化した部分は華やかな香りを生み出す熟成反応を促進させます」
滋賀・近江の工場で新樽造りに取り組んでいた20年ほど昔のことだ。焙煎を試みていたら、着火してチャーになってしまった。
「失敗した。この樽は駄目だ」。そう思ったが、当時の上司が「せっかくだから」とこの樽に詰めてみることを提案。熟成させたところ、新たな味わいの原酒ができた。焙煎とチャーの組み合わせをレパートリーの一つとして加えた。
◇
サントリーに入社した昭和60年、山崎蒸溜(じょうりゅう)所(大阪府島本町)のウイスキー研究室に配属された。なぜ樽ごとに味は異なるのか−。仕事は樽の研究だった。じっと樽を見つめたり、樽材に使う木の年輪の数と平均間隔を調べたり…。以来、樽と付き合い続けて四半世紀になる。
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