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【2030年】第2部 ふるさとはありますか(2)産地偽装、揺れたカキ養殖 「消費者ニーズ」という呪縛 (2/3ページ)
「安さ」が基準
「消費者ニーズ」。その言葉が一人歩きし、地方の生産現場を呪縛のように覆っている。カキだけではない。そもそも、スーパーの店頭に同じ大きさ、同じ色の野菜や果物が季節を問わず、しかも格安の値段で並んでいることを「消費者」の側も何の疑問もなく受け入れてはいないだろうか。
農産物流通コンサルタントの山本謙治さん(38)は「モノの値段は本来、生産価格に流通価格などを上乗せして決まっていくものなのに、バブル崩壊後は小売り側に権限が移るようになった。デフレ不況で物価が下がり、消費者も『なぜ100円で買えないの』となってしまう。魚介類や農産物でさえも同じように思ってしまう」。
では、「消費者ニーズ」の実態とは何か。熊本大学の徳野貞雄教授と財団法人福岡アジア都市研究所が市民1000人に消費者のタイプをアンケートしたところ、「安全なものなら多少高くても買う」という「積極型消費者」はわずか5%。「おいしければ満足」という「無関心型」は23%で、最も多い52%を占めたのが「安全性には注意しているが、特別なことはしていない」という「分裂型」だった。
山本さんは「口ではきれいごとを言いながら、実際は安いモノしか買わない。結果的に、POS(販売時点情報管理)データを重視するスーパーにとって、安値が最大の『消費者ニーズ』となる」。
生ガキ偽装事件の際に発足した対策協議会の席上では、学識経験者の委員が、同じく委員に選ばれた大手スーパーの社長に、カキの養殖が気象に左右されやすいことなどを説明した上で、こう迫ったという。「足りなければ、なぜ店頭に品切れの看板を出せないのか。あなた方は戦後、野菜がいつでもどこでも買えることの異常さを日常にしてしまった。そのしわよせを海にも押しつけるのか」
社長は「知りませんでした」と答えたが、その後、会合へは姿を見せなくなったという。
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