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【2030年】第2部 ふるさとはありますか(1)農山漁村から見える未来 日本の食支える「3%」 (1/5ページ)
何を確かめるために地方を訪ね歩いているのだろうか。時折、自問自答してみる。過疎の現実か、押し寄せる高齢化の波か、あるいは、日本の食を支える人々を失っていく焦りか。それとも、どこかにあるはずの「希望」を探す旅なのか。
民俗研究家でフリーライターの結城登美雄さん(63)はこの十数年、週のほぼ半分を各地の農村や漁村で過ごしてきた。田植えの季節になればあぜ道にたたずみ、サケが遡上するころになれば川べりをうろつき、北風が強くなれば、イカ釣り漁の浜にたどり着く。かつて日本にあった当たり前の風景にカメラを向け、そこに暮らす人々に話を聞く。
消費者ばかり
「当然のことですが、大都会で人口が多いからといって、住民が偉いわけではない。世間からは過疎地とか限界集落とか、ひとくくりにされている山里や海辺には、寡黙だけれども、穏やかで品格のある人々がたくさん住んでいる。彼らの言葉に耳を傾ければ傾けるほど、この国の未来を憂えざるをえなくなる」
20年後、つまり2030年の近未来をさまざまな立場の方に問いかけていくのがこの連載の趣旨である。ただ、今回のシリーズに登場する人々の多くは地方で農業などを営むお年寄りたちであり、そのとき、この世にいないかもしれない。あえてその現実に触れたのは、彼らの生命がわが国全体の運命を左右するかもしれないからである。
「考えてみてください。今や国民の3%に満たない人がわが国の食料の大半を支えている。かつて自給自足が当たり前だった日本人は消費者ばかりの国になってしまったわけです。種をまく人、船を出す人がいなくなれば、食べ物はスーパーまで届かない。そんな当たり前のことを多くの国民が忘れている」
農林水産統計によれば、わが国の農業就業人口は毎年十数万人ずつ減り続けており平成20年で298万人。このうち約半数の140万人を70歳以上の高齢者が占め、20年後を担う39歳以下は25万人しかいない。漁業人口も、漁に出る17万人の男性の5割が60歳以上という。
むろん、食料は海外から輸入すればいいという考えもあるだろう。ただ現状ですら40%を切る食料自給率がこれ以上下がることは決して好ましいことではない。なによりも「安全・安心」を当然のように考え、「輸入モノ」への抵抗感が根強い日本人がそうした現状を簡単に受け入れられるだろうか。
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