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宝塚の震災復興映画館が開館10年 職員が記念上映を計画 (1/2ページ)
平成7年の阪神大震災で傷ついた被災者の心を映画で癒そうと、兵庫県宝塚市の震災復興ビル内に完成した映画館「シネ・ピピア」が今年10月、開館から丸10年を迎えるのを機に、開館当時のプログラムを再上映する準備が進められている。自らも被災者で映画館の立ち上げにも携わった同館職員の岸保江さん(48)が計画。「被災者の熱い思いに支えられて今の映画館がある。感謝の気持ちを伝えたい」と、恩返しの思いと復興の喜びをスクリーンに込める。
阪急売布神社駅前にある同館は11年10月にオープン。2室計100席の小さな映画館だが、地域の自治会などを対象にした特別上映会などが評判を呼び、現在の会員は約3200人に上っている。
開館のきっかけは、かつて映画製作所があり、“映画の街”と呼ばれた宝塚に映画館を復活させようと、市内で自主上映会を続けていた市民団体「すみれ座上映会」の活動。同団体は震災後、復興支援の一環として、被災者を対象に上映会を開催し、その取り組みが認められ、公設民営の形で映画館が誕生した。
岸さんは震災から約2年後、団体に加わった。市内のマンションで被災し、腰に重傷を負い、満足に歩けない状態が続いた。当時の職場も退職を余儀なくされ、失意の日々の中、スタッフ募集のチラシを見て、「大好きな映画にかかわって生きがいを取り戻したい」と応募。開館後も団体からただ1人、映画館の職員として採用された。
岸さんには忘れられない思い出がある。9年9月、がんに冒された老女と若い女性との友情を描いたオーストラリア映画「ある老女の物語」(1991年)を上映。人間が誇りを持って生きる大切さを訴える作品に、定員50人の仮設小屋には計9回で約650人の被災者が詰めかけ、スクリーンの前に座布団を敷き、おえつを漏らしながら鑑賞するお年寄りもいた。

