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【産経抄】1月7日
20年前のきょう、夕日はことのほか赤かった。東京駅や地下鉄の駅から記帳のため皇居前広場へ向かう人の波は、昭和天皇崩御が伝えられた早朝から夕闇が迫っても途切れることなく、私語一つ聞こえてこなかった。
▼昭和の終わった翌日から、静かに平成は始まった。作家の司馬遼太郎さんは、平成最初の日である1月8日付小紙に「私どもの日常はつづいているのに、“昭和”が、一瞬で歴史になってしまったのですね」と綴(つづ)った。あの日生まれた赤ん坊は、もう立派な成人になる。
▼20年の歳月は、長いようで短く、短いようで長い。当時の竹下登首相も、新たな年号「平成」を発表した小渕恵三官房長官も既に鬼籍に入った。司馬さんもこの国の行く末を案じながら13年前に旅立った。
▼平成がどんな時代なのかを彼岸の司馬さんに鳥の目で書いてもらいたいところだが、ここらでわれわれも中間総括するいい時期かもしれない。中でも総括されねばならぬのは、政治だろう。
▼昭和天皇の崩御からほどなく東西冷戦が終結した。「歴史は終わった」と囃(はや)した学者もいたが、戦争は終わらなかった。イラクがクウェートを侵攻し、湾岸戦争が起きた。9・11テロが世界を震撼(しんかん)させ、米国はイラク戦争に突っ込んだ。中東の戦火は収まらず、北朝鮮は核兵器をもてあそんでいる。それでも日本政治は旧態依然だ。
▼20年で世界情勢は激変したが、日本が攻撃されれば、米国や国連がウルトラマンのごとく助けてくれる、と信じ切っている能天気な国会議員のなんと多いことか。きのうの衆院代表質問も退屈で退屈で、あくびが出た。これでは、高齢にもかかわらず、国民のため日夜尽くされている天皇陛下のご心労が消えることは当分あるまい。
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