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【仕事人】(2)整形外科医・伊藤恵康(65) 球界の常識変えたメス (1/5ページ)
このニュースのトピックス:仕事人
「投手の利き腕にメスを入れるなんて論外。あいつはもうだめですね」。昭和61年春、車を運転しながらラジオをひねると、プロ野球解説者の声が耳に飛び込んできた。「自分はやってはいけないことをしてしまったのか」。不安がよぎった。
“あいつ”とは広島東洋カープの守護神、「炎のストッパー」の名で愛された津田恒美(つねみ)のことだ。新人王を獲得後、右手中指の違和感に悩まされ続けた。さまざまな治療も効果はなく、球団は59年、チームドクターだった伊藤に最後の望みを託した。
検査結果は第2関節から先の血行障害。ボールが右手から離れる際、大きく中指を後ろにそることで靱帯(じんたい)が血行を阻害し、指先まで血が届いていなかった。日本だけでなく、メジャーでも幾多の名投手が引退に追い込まれてきた難病だ。
3日間、世界中の文献から治療法を探したが、有効な方法は見つからなかった。「靱帯の一部を切断するしかない」。血管拡張剤などによる治療では効果がなく、悩み抜いた結果、こう尋ねた。
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