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【探訪〜あの日あの時代】佐賀・福岡県境 筑後川昇開橋
■列車と船“十字路”の盛衰
沈む夕日が半世紀前と変わらないシルエットを映しだしていた。筑後川昇開橋は昭和10年に開通した旧国鉄佐賀線の鉄道橋だ。佐賀県と福岡県を隔てる九州一の大河、筑後川に架けられている。
地域経済を支える水運の要路にどんな鉄橋を架けるのか。「汽車は止めても船は止めるな」といわれた時代。高い煙突やマストを持っていた当時の船舶を優先し、船運との共存のために採用されたのが「昇開式可動橋」だった。
全長は507メートル、可動部分は24メートル、2本の鉄塔の高さは30メートル。重さ48トンの可動桁(けた)がエレベーターのように上下し、列車が通過するときだけ降ろしてレールをつなげる。以来、県境をまたいで行き来する人と物の流れを支えてきた。
だが、車社会の到来とともに乗客は急激に減っていく。昭和40年代には累積赤字が膨らんで廃止案が浮上。そして62年に佐賀線は廃止され、半世紀にわたって活躍した筑後川昇開橋もその役目を終えた。
いま、橋は遊歩道として整備され、1日に8回(月曜を除く)降ろされる可動桁を渡って両岸を往復できる。橋の操作員で福岡県大川市に住む古賀満義さん(53)は「この橋を渡って佐賀に遊びに行ったのを思いだすよ。当時は鉄道と渡し船しかなかったから…」と懐かしむ。
特別に許可を得て昇降する可動桁に乗せてもらった。完成から73年を経たが、驚くほど静かで滑らかに動く。川面が少しずつ遠ざかり、やがて筑紫平野を囲む山々の眺望が開ける。ほのかに潮の香りがする方角には、佐賀空港を離着陸する飛行機が見えた。時代の移り変わりを実感した。(写真報道局 奈須稔)
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「探訪」の動画は「産経ポッドキャスト」http://podcast.sankei.co.jp/でご覧になれます。
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