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【産経抄】11月13日

2008.11.13 03:10

 交通事故遺児の進学を支援してきた玉井義臣さんが、昭和53(1978)年に、「教育里親制度」を立ち上げたものの、まったく反響がない。途方に暮れた玉井さん、ふと子供のころ、姉が読んでくれた本を思いだす。翌年、その題名を借用して「『あしながおじさん』募集」と発表したら、事務所の電話が鳴りやまなくなった。

 ▼政府・与党が打ち出す追加経済対策の目玉の名称は、結局「定額給付金」に落ち着いた。給付金というと、「お上が恵んでやる響きがある」などと、反対意見もあったらしい。確かに名前は大事だが、給付金が世論調査で、“意外な”不人気にあえぐ理由はほかにある。

 ▼もともと「全世帯一律支給」のはずが、「所得制限」にぶれ、結局、窓口となる市町村への「丸投げ」に行き着いた。景気対策なのか、弱者の救済なのか、はっきりしない。多くの人が、そんな政府のやり方に「うさんくささ」を感じているからだ。

 ▼「辞退」の自由もあるというが、そもそも高額所得者に限る必要はない。玉井さんの呼びかけに応じた人たちのほとんどが、物語の「あしながおじさん」のような富豪ではなかった。生活を切りつめ、年金を削って、あるいは自分が上級学校に行けなかった代わりに、と送金してくれた主婦や、お年寄り、商店主たちだったという。

 ▼政府案によれば、辞退によって生まれた「剰余金」は、市町村に使い道が任される。となれば、高額所得者でなくても、郷土のために、一肌脱ごうとする、有徳の士も出てくるはずだ。

 ▼いっそのこと、辞退者にバッジを配ってはどうだろう。共同募金の季節になると、赤い羽根を胸に着けないではいられない政治家のみなさんは、喜んで辞退するに違いない。

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