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【すごいぞ日本】ファイルVII 食は和にあり(5)

2008.9.2 03:10
このニュースのトピックスすごいぞ日本
すし職人の国際化に力を入れる東京・巣鴨の「東京すしアカデミー」。海外からの受講生も多い(東京すしアカデミー提供)すし職人の国際化に力を入れる東京・巣鴨の「東京すしアカデミー」。海外からの受講生も多い(東京すしアカデミー提供)

 ■チョコ手巻きとの遭遇

 海外で日本食の代名詞といえば、すし以外にはないだろう。生の魚を食べることに対する抵抗感も、すしが世界に普及するにつれて消えていった。

 「英語とすしを同時にマスターして海外就職」

 本格的なすし職人の短期養成を目指す東京・巣鴨の専門学校「東京すしアカデミー」は、ユニークなキャッチフレーズを掲げ、すしの国際化をバックアップする。すし調理を体系的に学べる学校は国内でもほかに例がない。

 オーストラリアのシドニーにある系列校では、そのすし調理とともに、提携する語学学校の授業で英語を学べる。日本校でも海外での就業、起業を成功させるノウハウを教え、すし職人を「輸出」する方針が強く打ち出されている。

 一線のすし職人らが100時間余りの授業を担当する日本校の「プロ講座」は授業料が約50万円。福江誠代表(41)は「起業したい人でないと割に合わない値段」と説明する。受講生には学歴や職歴が高く、起業の意欲が強い男性が目立つという。

 カリキュラムが少ない基本講座も入れると、平成14年の開校以来の卒業生は1000人を超え、米国をはじめロシア、チリなど約40カ国ですしにかかわる仕事に就いている。

 世界の主要国では10年来のすし人気が続き、ブームに乗って生魚の扱いに関する知識が十分でないまま出店するケースも都市によっては目立っている。しっかりとした知識と技量を身につけた職人の育成と海外への派遣は、すし業界にとって急務である。福江代表は「女性受講生がリスボンで日本料理店を始め、同種店のリーダー的存在になっている例もある。啓蒙(けいもう)できる人を世界に送り出せていると感じる」と話す。

 こうした努力の一方で、国際化は、すしの「進化」ともいうべき新たな動きも生み出している。

 台湾では手巻きずしの酢めしの代わりに、千切りキャベツを使う店がある。香港ではデザート用にチョコレートが入った手巻きずしが登場し、別の店の日本人職人が「同じものを出してほしい」と頼まれた…。特定非営利活動法人・日本食レストラン海外普及推進機構(JRO)の各地の支部から寄せられる報告は、この点で非常に興味深い。

 JROの多賀谷保治事業部長は「日本でもたらこスパゲティなど外国料理をアレンジして取り込んできた歴史がある。良いか悪いかは別として、その味が認められていることは確か」と語り、こうした珍現象にも一定の理解を示す。福江代表も「エビフライを乗せたすしなんてかつては冗談としか思えなかったが、いまや日本の回転ずし店がアイデアを逆輸入しているのが現状」という。

 海外には日本人職人を大きく上回る数のすしレストランがあり、外国人のみで経営、調理する店も多い。農林水産省の推計では、日本食レストランは2年前の11月現在で北米1万店、欧州2000店、ロシア500店。福江代表は「最先端のすし文化の発信源は日本からロサンゼルスに移ってきている」と指摘する。

 日本の食文化を伝えるとともに、その食文化が異なる環境に遭遇して生まれる新たな変化を積極的に取り入れていくことも、国際化が生み出した新たな課題だろう。(芦川雄大)

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すし職人の国際化に力を入れる東京・巣鴨の「東京すしアカデミー」。海外からの受講生も多い(東京すしアカデミー提供)

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