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【停車場ストーリー】JR中央線・大月駅 消えゆく歴史的駅舎 富士への玄関担い80年 (2/2ページ)
大月駅は富士五湖を結ぶ富士急行線の乗り換え駅でもある。同線も昭和4年に開通し、富士山を信仰した「富士講」の道者たちが大月を宿場とした。各旅館が駅前で客引きもした。中央線は産品の「郡内織物」を首都圏へ運ぶ流通幹線ともなり、戦後には織物市が開かれるたび、取引を終え、懐が温かい機屋(はたや)の主人らが駅界隈(かいわい)で豪遊もした。ガチャンと織ってもうけたことから“ガチャ万時代”といわれた好景気を迎えた。好景気に沸く中心街では神奈川県平塚市をまねた七夕祭りが盛大だった。からくり仕掛けの飾りもあって、七夕を楽しむ観光客が駅前通りを埋めたという。
中央線の開通がもたらした好景気も、昭和50年代以降、次第に影を薄め、首都圏までの時間短縮や電車本数の増加で利便性が高まり、泊まり客は減った。「日帰りが可能になって、便がよすぎてだめだ」。寂しげな表情を天野さんはみせた。
大月駅前再開発は今年度から本格化して、駅前広場を現在の4倍の4000平方メートルに拡大し、南側だけの改札口を北側にも設けて南北通路で結び、平成23年度には橋上駅舎に変わる。天野さんの店も移転しなくてはならない。大月市大月駅周辺整備室の水上文明グループマネジャーは「駅前広場の改善と南北通路で生まれる人と車の新たな導線が、空洞化した中心街に活力をもたらす」と再開発の意義を説明する。だが歴史的駅舎は新駅舎に組み入れることが難しい。天野さんは「駅舎がなくなるのは、時代の流れでしょうがない」と話した。(牧井正昭、写真も)
■大月駅 1日の平均乗降客数=7181人(平成17年度)▽開業=明治35(1902)年10月1日▽運行本数(平日、特急普通列車合計)=上り77本、下り76本▽駅周辺の主な施設=岩殿山(標高 634メートル)。山頂からの眺めは雄大で、富士山の眺めは大月市の「秀麗富嶽12景」のひとつに選定されている。春はサクラの名所。ふもとを流れる桂川はアユ釣りのメッカ。
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